彼氏持ちの眼鏡幼馴染と交わる吐息とNTR背徳の甘い味
パタパタ
交わる吐息
部屋で男と女2人の空間。
「それでぇ、彼氏のヨウくんがね……ねぇ、ちょっと聞いてる?」
肩までの綺麗な黒髪を無造作にベッドに広げ寝転んだままでナツは好きなように言葉を紡ぐ。
眼鏡越しにすらその瞳は吸い込まれるように綺麗で、可愛らしい見た目と相まって清楚な印象すらも受ける。
「聞いてるよ、ヨウくんは浮気とかしないと宣言してるんだろ? そういうナツはどうなんだよ」
僕、吉良文也≪キラフミヤ≫と幼馴染の香月緋夏≪コウヅキヒナツ≫に問いかけた。
「私? そりゃぁ、浮気なんてしないよぉ〜」
そう言って目を細め、どこか色気を伴って放たれる。
それは男の部屋でその男のベッドで、制服のまま無造作に身を投げ出しておいて言うことなのかどうか。
それとも僕は男と認識されていない、とか。
「……そういうことなら、彼氏持ちの女が男のベッドに寝転がるのがどういうことか教えてあげようか」
そうではないと頭ではわかっていてもイラッとした。
だから、スカートのままベッドに寝転ぶナツに覆い被さるように両手を付きそう告げた。
ナツは自らの眼鏡を緩やかな手つきで取り外し枕の向こうに置く。
「……どうして眼鏡を外す?」
「……邪魔でしょ? めがね」
それから挑発的な笑みを浮かべたまま、ふぅと僕の口へと息を吹きかける。
それは甘い香りと共にたどり着き、僕をくらくらとさせる。
仕返しとばかりに僕からもふぅっと息を吹きかける。
あろうことかナツはそれを迎え入れるように空気の固まりを、あむっと口に含んで味わうようにもぐもぐと咀嚼する真似をする。
「……へへっ、甘くて──美味しぃ」
甘美な味わいのなにかを口にしたように蕩けた顔を無防備に、女に覆い被さる目の前の男に見せるつける。
血が沸騰した。
それに気づく前に転がるようにベッドから降りた。
それは理性がぶち壊れてしまう前の僅差の差。
荒い息になりかけた吐息を深い呼吸で宥める。
そんな僕を微笑を無くした表情で真っ直ぐに見つめながら、ナツは身体を起こす。
ナツも僕同様に静かに大きく呼吸を繰り返していた。
そうしてナツは清楚で可愛らしい見た目にそぐわぬ妖艶な微笑をわざとらしく浮かべて、口を動かす。
『いくじなし』
言葉は発してこない。
それは言葉通りに僕をなじるものではない。
ナツの目の色が大きく揺れている。
知っているのだ。
それが言葉として、音として発したときに自分がどうなるのか。
自分たちがどうなってしまうのかを。
……それはナツが自分に言い放ったものなのだ。
ただの1度、ただの1度でもその粘膜を交わらせれば、僕たちは止まることなくその互いの快楽をむさぼるのだ。
そして、2度と愛などという幻想にたどり着くことのできないどうしようもない背徳の交わりを繰り返すのだ。
それがわかっていても────わかっているからこそ、このギリギリの快楽へ追い込んでしまうのだ。
「今日は帰るね?」
そう言ってナツは快楽に震えそうになる肩と欲情に溶けた瞳を僕に見られないようにして、部屋を後にした。
枕の上にナツの眼鏡を残したまま。
これは、僕らの背徳の物語。
いつか終わってしまう僕らの寝取り浮気のすえにたどり着いてしまう人生の末路の……日常の話。
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