第22話 エルフちゃんと海水浴場

 夏休みに突入した。

 ということで俺たち四人は海水浴場へ繰り出すことにする。


「えへへ、七夕でも乗りましたけど電車ですぅ」

「こっち来たときもタクシーだったから乗る機会があまりなかったのか」

「そうですねぇ」


 空港で外務省と人と落ち合ってその人の運転で先に外務省の施設へ寄ってそこからタクシーだったらしい。

 電車の電子カードは前にバスに乗ったのと同じものなので問題ない。

 とくに今までいたどこそこの外国では通勤仕様の電車に乗る機会は少ないかもしれない。

 椅子が壁際にのみ設置されていてボックス席のないタイプだ。

 だからみんなで一列に並んで座っている。

 俺を挟んでララちゃんとハルカが左右から俺を見ている。

 今日はアキラもいるけど右側のララちゃんの向こうで一人スマホをいじっている。

 電車が揺れると二人のお胸も揺れるので、結構ばるんばるんする。

 まったく電車の揺れって何年経っても改善されないのかね。

 電車はそのまま東京都へとつながっていて地下鉄へ。


「地下鉄ですぅ」

「おお東京の地下は地下鉄の迷路だよな」

「私でもよく分からないもの」

「ハルカもか」

「ええ、ララちゃんじゃ迷子になってしまうから離れちゃダメよ」

「気をつけますぅ」


 まあララちゃんの勘をもってすれば帰ってこれるかもしれないけどね。

 スマホを頑張って使うとか。

 ララちゃんも外務省が用意したスマホを普通に使っている。

 日本語の読み書きもできるので俺たちと違いはない。


「ここで乗り換えだから、降りるぞ」

「はっ、はいっ」


 慌ててみんなで東京都内のターミナル駅で乗り換える。

 ここから先は神奈川方面へ向かう。

 人がぞろぞろと並んでいるので、はぐれないようにするので精いっぱいだ。

 人の列に身を任せつつ、迷子にならないように祈りながら乗り換えた。


「ふぅ、セーフだな」

「なんとか乗り換えできましたぁ」

「ああ、ララちゃんよくやった」

「やった、褒められちゃいましたぁ」

「あはは」


 電車は横浜を通過して向こう側へ。


「海、見えましたっ、海ですぅ」

「おお、よく見える、よく見える」


 そこには大海原、太平洋の相模湾だと思う海が見渡せた。

 ヨットや遠くに大型船、漁船なんかも見える。


「船もありますねぇ」

「そうだね」

「海は飛行機で上から見ましたけど、横から見ると壮観ですぅ」

「ああ、なるほどなぁ」


 この水平線までギラギラと輝く海が続いているのがすごいんだよな。

 そうしていよいよ電車を降り海岸へ向かう。


「海の家ですぅ」

「ああ、ここで今日はお世話になります」


 着替えをささっと済ませてしまう。

 ごくり。その時はついにきた。


「おおぉおおお」

「えへへ、どうですか、ビキニ、恥ずかしいですぅ」

「なんで私まで」


 そこには丸く大きく熟すまで育ったメロンが四つ。

 緑のビキニタイプの水着を着たララちゃんとハルカがいる。

 ララちゃんも恥ずかしそうにしているが、ハルカのほうはこれでもかというくらい顔真っ赤だ。


「えへへ、ケート君」

「ああ、似合っているよ。ララちゃん。ハルカも」

「褒めてもらいましたぁ、うれしいです。ありがとうございますぅ」

「ありがと……」


 まったく。文句を言いつつハルカもまんざらではないようで俺が視線を向けるとニコッと笑顔を向けてくる。

 メロンちゃん。4Lの超大玉が二つと3Lの大玉メロンが二つだ。

 ビキニの生地が丸く膨らんでぴちぴちになっている。この張り具合がたまらない。

 そしてビキニ特有の丸出しの下乳。丸みを帯びた曲線美が素晴らしい。


 ハルカがジト目になりララちゃんのおっぱいを狙う。

 ララちゃんが察知して胸を隠す。


「おっぱい狙っちゃやだですよぅ。ハルカさん」


 そう言いながら自分で胸を持ち上げる。

 すげぇぽよんぽよんと持ち上がる。めちゃくちゃ柔らかそうに揺れる。


「ぐっ」


 それを見たハルカも衝撃を受けて自分の胸を触ってみて持ち上げてみる。

 こちらも揺れるがアレほどではない。惨敗。


「脅威の格差社会」

「もう、なにやってんだか。それは初めから分かってたろ」

「そうだけど、目の当たりするとつい」


 やれやれ。

 気を取り直して、やり直しだ。

 アキラに視線を向けると手をあげて彼もやれやれとポーズをとる。


「よし海だぁ」

「わあああい、海だあああ」


 俺たちが海に向かって走っていく。体に波が打ち返してきて波しぶきが上がった。

 そのまま海の中へ。しばらくその辺で泳ぐ。


「しょっぱいっ、本当にしょっぱいんですぅ」

「だろ。しかもえぐい」

「すごく不味いですぅ」

「あははは」


 海水の塩分濃度って信じられないほど高くて不味いよな。


「体が浮く感じがしますぅ、これなら胸も楽ちんですぅ」

「あ、ああ」


 ララちゃんのおっぱいが海水にぷかぷか浮かんでいた。

 目の前にするとすげぇ。

 確かにあの錘をずっと感じているなら肩も凝るというものだ。


「ここ潮干狩りもできるんだって」

「潮干狩り?」

「うん。砂を掘ってアサリを採るんだ」

「へぇ」

「海の家で全部貸してくれる」

「やりましょう」


 ということで折れたスプーンみたいな熊手で砂を掘る。

 するとどんどん出るわ出るわ。アサリちゃんがざっくざく。

 近年数が減少しているというところも多いらしいが、ここは数が回復しているんだそうで、こうして俺たちも恩恵に預かっている。

 採れたアサリはバケツに移していく。


「すごいですね。こうやってアサリって採るんですねぇ」

「うん。業者の人はもっと大きい熊手を使うらしいよ」

「へぇ」


 器具を返却するとアサリはビニール袋に移してもらった。


 そうして海の家であんまり美味しくない伝統の焼きそばを食べたり、かき氷を食べたり、砂のお城を作ったり、借りたボールで遊んだり、と充実した海水浴を楽しんだのだった。

 あ、そうそう日焼け止めは各自先に塗っておきました。

 俺は背中塗れとか言われなくて、ほっとしております。敬具。


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