第16話 エルフちゃんの衣替え
六月一日の朝。
部屋からエルフのララちゃんが出てくる。
「じゃじゃーん。どうですか? いいですよね?」
「あ、ああ……似合ってるよ」
それ以上はコメントしにくい。
六月は衣替えなのだ。しばらく移行期間なんだけど、すでに外はだいぶ蒸し暑い。
俺の地域では今日からさっそく夏服に替える人が多い。
それで問題のララちゃんなんだけども。
あのね、夏服ってちょっと薄いんだ。しかもベースの生地は白ときている。
それで透けてる。今日はスカイブルーのブラジャーらしい。
スリップみたいなやつを下に着る子もいるけど、最近の子は直でブラの子が多い。
なんでってそれが流行っているから。理由なんて知らない。
紺のセーラーの襟と赤いリボンは健在だ。
やっぱりセーラー服はかわいい。
一時期はブレザータイプが一世を風靡していたけど伝統あるセーラー服がかわいいとされて復権してきている。一種のセーラー服ブームだ。
制服がない学校も相変わらず増加傾向にあるのだけど逆になんちゃってセーラー服が流行していて私服でも疑似セーラー服みたいな格好をしている子も多い。
この私服タイプのセーラー服にはフリルがいっぱいついたものとかピンクのものとか結構派手なのもある。
一昔前であれば美少女ゲームといわれるジャンルの制服にかなり近い。
世の中、変われば変わるものだ。
それでララちゃんのおっぱいなんだけど、大きいんで制服が丸く膨らんでて目立つんだ。
冬服はまだ厚手だったのでそこまででもなかったけど、夏服だとその膨らみがぱっつんぱつになっている。
「行ってきますぅ」
「行ってきますっと」
誰にでもなくお互いに挨拶をして家を出る。
薄っすら透けているおっぱいが押し付けられてそして歩くと揺れる。
もう毎日そうなんだけど薄着だとなんというか柔らかい感触や温かい温度がよりいっそうダイレクトに感じられる気がする。
なんだかイケないお店の接客みたいだと思わなくもない。
ハルカと一緒に登校しなくなってどれくらいの年月が経ったかな。
小学校低学年のころは毎日一緒だった。
それがいつのころからか別々になって現在に至る。
もし一緒だったら朝も両方からおっぱいサンドイッチになるところだった。
ララちゃんの夏服はより一層目立ち、人々の視線を集める。
代わりにエルフだ金髪だという、本来もっとレアで目立ちまくる要素がおっぱいに吸い寄せられることで、まあそんなもんかという気にさせてくれる。
エルフだとあまり指摘されない理由だ。ぶっちゃけおっぱいには助けられている。
「ふんふんふーん。ふんふんふーん」
なにやらアニメの音楽の鼻歌を歌っている。この前のエルフソングと違って聞き覚えがある。
今日もララちゃんはご機嫌だ。
この前、ホームシックになってしまいびゃんびゃん泣いていたので、どうしようかと思った。
なんとか立ち直ってくれたらしい。俺も協力できることはなんでもするつもりだ。
こうしてると何でもないように見えるが、たった一人のエルフだから寂しいに決まっていた。
そういう気持ちを表に出さずに健気に振舞っているのだ。
普段は俺たちもいるから気にならないのかもしれないけど、それなら役に立っているようでうれしい限りだ。
「おはようございます」
「「おはようございます」」
教室に元気よく入る。まるで小学生みたいだがこれがうちのクラスのスタンダードだ。
「ララちゃんのおっぱいが……」
「ララちゃーん」
「おっぱいちゃん」
さすがにララちゃんの夏服のおっぱいは目立つようで声が上がる。
ララちゃんもこれには少し顔を赤くして目を細めた。
ふむ、恥ずかしがっているララちゃんもこれはこれでかわいい。
最後列の席に座る。
あぁそういえば家でもそうだったように、ララちゃんが座ると机におっぱいがでーんの乗っている。
そのためおっぱいが座ってみるように見える。
俺は横の席なので横から持ち上げられたおっぱいがよく見えた。
「ふぅ。こうすると楽なんですぅ」
「お、おう」
さすがに突っ込むのも難しい。
それはそうと昨日あれだけ泣いたのに学校ではその様子を見せなかった。
ある程度回復してきたともいえるがララちゃんは強い子なのだろう。
朝の時間にも何人かがララちゃんにも声を掛けたけどホームシックだという雰囲気は微塵も見せなかった。
おっぱい、いっぱい、夢いっぱい。
地球でのいい思い出をたくさん作って欲しい。
異世界には帰れなくて寂しい思いはするだろうけど、せめて地球を楽しんで欲しい。
「おはよう」
「おはよう、ハルカ」
「ララちゃんのおっぱい目立つねぇ」
「ううぅぅ」
ハルカがいじりにきた。
いやハルカのおっぱいだってだいぶ目立つ。
今もピンクの花柄のブラが透けているし。
ララちゃんには及ばないもののハルカのおっぱいもデカい。
「いけないおっぱいはこの子かぁ」
「ああんっ、あはん、あっあはああ」
ハルカがララちゃんのおっぱいを揉んでいる。
されるがままのララちゃんは顔を赤くして悶えていた。
別に嫌がっている様子はないがこれは、うむうむ。
すごい、おっぱいがぎゅぬぐにゅと動いてあんなに柔らかいのが見た目でも分かる。
とまあとにかくこうして夏服デビューを果たした。
六月と言えばそろそろプールの時期でもあった。
ララちゃんのスク水……俺はそれを想像してごくりと喉を鳴らした。
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