第193話・それから……

 島に戻って一ヶ月。建物の建築は今も続いてるけど、完成した建物もかなりある。


 温泉浴場と酒場と遊技場と宿屋は、マルク君の家がやってるイースター商会の空中船が来るかもしれないので、擬装ロボットも使って早めに完成させた。


 ヴェネーゼとの取り引きは相変わらず順調で、魚の瓶詰めは人気のようで島の女達で増産してる最中だ。


 田畑の方も重機を使ったからか整備はほぼ終わっていて、南国の果樹やカカオの木も、この惑星の在来種を品種改良して植えてみた。


 もうすぐ田植えが出来る季節なので、現在はその準備をしてる。


 オレの日常はあんまり変わってない。


 島の田畑を見回ったり住人達の話を聞いたり、ロボとブランカの世話をしたり。


 島の日常というなら酒場と遊技場が出来たことで、島のみんなが楽しめる環境が出来たことは大きい。


 最近は漁業や瓶詰め作りの利益を、みんなに分配してる。


 島の外と同じ貨幣経済にこんなに早く移行出来たのは、いつまでも世話になってばかり居られないという、みんなのやる気と努力の結果だ。


 酒場も酒好きな親父がやりたいと言い出したので任せることにして、ヴェネーゼから仕入た酒や宇宙で作ってるお酒を卸してる。




 勇者になってるジョニーさんは相変わらず勇者してて、死神さんと一緒にワイマール王国の内乱にちょっかいを出して収めちゃったみたいだけど。


 そうそう。ジョニーさんはこの一ヶ月で旅の仲間が増えてる。


 何でも神託を受けたと言ってる聖女様とその護衛の女騎士に、ジョニーさんが前に助けたエルフの女の人がジョニーさんを追い掛けて来ちゃって仲間になってる。


 流石は勇者様だけにハーレムへの道まっしぐらだね。


 一緒に居る死神さんは面白くないみたいだけど、捨てていく訳にもいかないので一緒に旅をしてるらしい。


 死神さんに関しては旅をしてすぐに戦闘機の操縦が下手なことが判明してしまい、結局は彼女がこの世界に乗ってきた海賊船型の宇宙船を、一部自動化したり乗員として擬装ロボットを貸し出したりして乗ってる。


 旅の仲間も出来たんで、仲間も乗せる必要があったみたいだしね。


 勇者の仲間は女空賊と聖女と女騎士に、女エルフの魔法使いだと評判らしい。


 ちなみに全員美人でスタイル抜群だよ。もげてしまえ! と心の中で一瞬願ったことは誰にも明かしてない秘密だ。


 うちの島にも一応聖女様と皇女様が居るんだけどね。今日は村の子供達と一緒に鬼ごっこしてる。


 これが勇者と臆病者の違いってやつかね。


 新しい子供を連れてこなかっただけ、良かったと思うしかないのかも。


 そうそう帝国はサミラス皇子が正式に皇太子に就任するらしく、来週にはミリーを帝都に連れていかなきゃならない。


 立太子の儀式とお披露目のパーティや帝都内のパレードにはミリーも参加しないとダメみたい。


 帝国は国内は今のところ安定している。


 一部の貴族は隠居させられたり爵位の降格処分を受けたが、宰相をはじめとしたバルバドス皇子を支持していた者の大半は、特に処分をされることなく現在も職務をこなしてる。


 まあ国を割らないように立ち上がったのに、後始末で国を割ったら意味がないからね。落としどころを考えてるんだろう。


 ぶっちゃけオレにはあんまり関係ないし、最近の悩みはロボとブランカのお嫁さんとお婿さんをどうするかだ。


 うん? ロボとブランカの心配より、自分のことはどうなんだって?


 いいんだよ。オレは。せっかくみんなとの関係が、上手くいってるんだからさ。


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