第150話・サルベージ・そのニ
駆逐艦タイプの空中艦は海竜を惑わすべく、四方に散りながら爆雷を投下していく。
爆雷が爆発した水柱が上がると水中に衝撃波が伝わり、複数居た海竜の数体はそちらに向かうが、こちらにもまだ向かってくる個体がいる。
「マルク君。参考までに聞くけど、普通は海竜ってどうやって倒すの?」
「普通は海竜を倒しませんよ。帝国海軍でも追い払うのが精一杯だと聞きます。ただ時々倒す人も居るんですが、倒し方は教えてくれませんね。恐らく魔法だとは思うんですが」
うーん。こっちの人達は海竜を相手にどうやって戦うのか、参考にしようとしたけど参考にならないな。
「あっ。爆雷で魚とか魔物が浮いてきたわよ」
「なんかダイナマイト漁みたいになったな。もったいないから、駆逐艦に浮いてきた魚と魔物の回収をさせて」
「どうせなら海竜が見たいわね」
「海竜が見たいのう」
ただ爆雷は無駄じゃなかった。
マグロモドキとか烏賊の魔物とか、他には細々とした魚とか魔物が水面に浮いてきたよ。
今まで気付かなかったけど、爆雷漁はこの惑星の魔物には有効なのかもしれない!
ただ、みなさんは海竜が見たいようで、輸送機の窓から下をみんなで覗いてる。
「距離一千。かなり強い個体のようです」
「大人しくしてればすぐに帰るのに」
「竜種は縄張り意識が強いと聞きます」
「海竜に話せる知能は?」
「お伽噺には話せる竜が出てきますが、実際に見たと聞いたことはありませんね」
爆雷に騙されないなんて、かなり知能があるのかと思ったけど交渉は望み薄か。
ミリーお嬢様なら出来そうな気はするけど、覇王スキルのことはマルク君には知られない方がいい気もするんだよね。
信頼できないという訳じゃないけど、秘密は知る人が少ない方がいいし、マルク君のためにも知らない方がいいと思うんだ。
「距離八百。船はかなり深い海底にありましたので、海竜より先に引き揚げるのは間に合いません」
「ジョニーさん。行きますか?」
「おう! 援護頼むぜ」
「了解です。全艦ジョニーさんの援護を」
結局戦わなくちゃならないのね。
戦闘は勇者様に任せて、オレ達は援護に回るか。
どっちでもいいんだけど、ジョニーさんやる気なんだよね。
「なんか昔の怪獣映画みたいね!」
「映画ってなに?」
「えーと、お芝居を記録したマジックアイテムかしら? 面白いわよ。今度見てみる?」
「もちろん見るわ!」
あの、一応戦闘中なんですけど。
みなさん海竜とか映画の話で盛り上がってますね。
「シューティングスター。海竜に魚雷発射しました!」
「魚雷海竜の手前で爆発しました! 海竜へのダメージ軽微の模様。続けて音速魚雷発射しました!」
海竜の方はジョニーさんがシューティングスターで魚雷を撃ったけど、わざわざ遅い魚雷から撃って試してるし。
流石に通常の魚雷は、海竜の攻撃かなんかで阻止されたみたい。
音速魚雷は当たるかね?
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