第2話 あたしは、身体障害者だ。よろしくね。

あたしもというのは

当然えびこさんもだ。


奇形であり、突然変異じゃなきゃ

ありえない、自然界じゃ、生き残れない。


赤と白のシマシマ。


レッドビーシュリンプという

おめでたいようで

性格もおめでたいえびちゃんだ。


10年以上前に流行ったらしい。


私は、障害者としてしかもう働ける自信はなく、ハローワークでその枠で紹介してもらった中にあった鑑賞用海老の養殖。というのに、応募した。えびがいたから。そして、文字にすると、確かに涙が溢れそうになる。かわいそうなあたし。アルケナイシ。。。


大好きな生き物との触れ合い。

なんて思っちゃいなかったが

養殖されて売られる彼等は、

生き物な商品。


物だ。


特にここは、

障害者就労支援施設A型なんちゃらとか

いうところ。


えびちゃんは、出るとこでれば

もてはやされるが

人間の先天性遺伝子異常のあたし達は?


滑稽で笑えた。自分を。


のち、ここの女社長20代、若いねぇちゃんと

話したとき、

シュリンプが、月100万は売れると言ってた。


100万!!


自慢したつもりか?

ブランドのバック持って

旅行が趣味。


叩き上げの営業からの抜擢と聞いたが。


誰のお陰で飯食ってんじゃ、ゴラァ。

エビか?

障害者さんだろ。


100マンなんて、

アナタノコヅカイヨネ??


どちらにも興味の無い女。

お金にしか興味ないのかも知らんが

バブル世代のあたしからしたら

肥溜めから金拾って洗って

喜んでるようにしか見えなかった。

汚っちいけど、お宝ざんまい。


あたしは

すでに

シュリンプにも

ここの障害者の人にも

なんか、驚きのような

来て良かったって思えたのに。


そして。かねかね人間のことは

もう、汚れるので描かない。


そういえば

宇野千代先生は、

あの恋愛のあと

なんちゃらの桜を

生き返らせた。ような。

桜の元に通い

心砕き、桜は応えてくれたはず。

満開になったとか。。


あたしは、

このえびちゃんに捧げたいと。


アレから一年、

女にくすり指を折られたあの日から。


なんとなく健常者だった自分とさよならできる

きっかけを作ってくれたあの日から。


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