第5話 戦争回避は難しいようです。

side:ジャクリーン




バルフェンバーグ王国から馬車を急がせて3日目の夕刻


私は無事にグロンクヴィスト王国に帰って来ました。


ここには2度と戻る事は無いという決意を持って、バルフェンバーグ王国に行ったのに


まさかこれほど早く帰って来る事になるとは思いませんでした。


再びこの目で故郷を見られた事は素直に嬉しく思いますが、ゆっくりしていられる状況ではありません


急いで父に

エルネスト・グロンクヴィスト国王陛下にお会いしなくては!



ーーーーーーーーーーーーー



side:エルネスト・グロンクヴィスト



「申し上げます!ただ今門兵から連絡が入り、ジャクリーン様がお戻りになられたそうです!」


「ジャクリーンが来たら私の部屋に来させろ」


「はっ!承知致しました。」




ジャクリーンは無事に帰って来たか、王という立場からするとバルフェンバーグとの今後を考えると頭が痛いのだが


また娘に会えるというのは親として素直に嬉しく思う♪


ジャクリーンからの手紙にも、バルフェンバーグが同盟破棄などという愚行を何故犯したのか理由は不明とあったが


同盟成立の証として送ったジャクリーンを突き返して来るなど、宣戦布告と同義なのだが


奴等は本気で我が国と戦争をするつもりなのか?



バルフェンバーグと我が国は、人口、兵力、食糧生産能力等々どれを比較してもほぼ同じ


だからこそ戦争などすれば消耗戦になり、お互いに潰しあう事になるからと同盟を組んだというのに


もしやそれを見越しての同盟破棄か?


ジャクリーンから詳細は聞かねばならんが、私が戦争などしないと考えているのだとしたら、まさしくバカとしか言いようがないな


確かに私は出来る限り戦争を回避するが、簡単に同盟を破棄する国など誰も信用せんぞ


バルフェンバーグが何時裏切って他国に兵を送り込むか分からん状況になってしまった以上


周辺国が放っておく筈があるまい、下手をするとバルフェンバーグは世界を敵にまわす事になりかねん


それを回避する為にはバルフェンバーグに正式な謝罪と説明を要求するしかない


バルフェンバーグは素直に応じるだろうか?


許否すれば戦争は避けなれなくなる


最良なのは、バルフェンバーグでクーデターが起きて王族の首を差し出し、尚且つ王城の無血開城をすれば


少なくとも何の罪も無い民を巻き込む事は避けられるのだが



『コンコン』


来たか!



「入れ」


『ガチャ』


「失礼します。先ずはグロンクヴィスト国王陛下に謝罪致します。


我が役目を全う出来ず帰って来た事、誠に申し訳ありません。」


「うむ、気にするなとは言えんが、また会えて嬉しいぞジャクリーン♪」


「はい、私もお父様に会えてとても嬉しいです♪ですが今は父娘の再開をゆっくり楽しんでいる場合ではありません」


「分かっている、早速話を聞かせて貰おう。」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る