第40話 グリーンドラゴンのルイーズと新たなフェアリーの竜使いルル


〈キルヒアイス!こっち見えてる?転移魔法おねがい!〉妖精たちがお菓子を食べ終わってフェアリーの木の前に集合した所で、世界樹キルヒアイスに声をかける。

〈うん!見えてるよ〉と世界樹キルヒアイスが答えた瞬間、フェアリーの木の前に直径50センチの転移魔法の光の球が地上10センチの位置に浮かんだ。

「妖精のみんな~~!世界樹の樹液を集めに世界樹に行くけど、今回は前回より時間がかかる予定だから、世界樹の樹液を少しならつまみ食いしてきていいからね~~! 出来ればトロットロの新鮮な世界樹の樹液はビンにつめて持ち帰ってほしいけど、古くなって硬くなった世界樹の樹液はなめていいからね~~! じゃあ、世界樹に行くよ~~!」と言って転移魔法の光の球に飛び込む。


 転移魔法の光の球から出ると世界樹だった、後ろを振り返ると、ものすごい勢いでフェアリーたちが大量に出てきていた。

「(中略たくさん)「アルヴィン!早く小ビンを!」(中略たくさん)」とたくさんのフェアリー。

 素早く転移魔法の光の球から10メートルの距離を取りぼくの無くなった右手首の補助をフィリオーネにしてもらい、“ビンの洗浄の魔法”と“ビンのフタの洗浄の魔法”でビンとビンのフタを洗浄してフェアリーたちに渡していく。

 フェアリーたちに小ビンを3923個渡した所で、列に並んでいるのがインプになった、小ビンを受け取ったフェアリーたちはまだ1匹も帰ってこない。

 インプとピクシーに小ビンを渡し始めて476個目の時に最初のインプが戻ってきた。

「早かったね!フェアリーはまだ1匹も戻ってこないよ? もう少しでビンを配り終わるから、少し待ってね!」

 インプとピクシーに小ビンを渡し始めて637個で、列に並んでいたインプとピクシーはいなくなった。

 ピクシーの数を正確には数えていなかったが、おそらく10匹ぐらいだったと思う。

「おまたせ!すぐに大ビンに移し替えるから待ってね!」また“ビンの洗浄の魔法”と“ビンのフタの洗浄の魔法”で大ビンと大ビンのフタを洗浄して、今度は“世界樹の樹液をビンからビンにきれいに移し替える魔法”で、小ビンから大ビンに世界樹の樹液を移し替える。

 150匹ぐらい並んでいるのを片付けたころ「英雄狩り対策で一緒にいないといけないって事は分かってるんだけど、あたしも世界樹の樹液集めに行っていいかな?」とリリオーネが言い出した。

「うん、フィリオーネとフロレーテはどうする?」

「あたしは大丈夫」とフィリオーネ。

「あたし、がまんできる……」とフロレーテ。

「じゃあ、リリオーネとフロレーテで世界樹の樹液集めに行って! 離れないようにね!」

「「わ~~い」」と言いながらリリオーネとフロレーテが飛んで行こうとする。

「ちょっとまって! 小ビンを持っていかないと! 世界樹の樹液を集めるって言う、大義名分があるでしょ?」と言いながら“ビンの洗浄の魔法”と“ビンのフタの洗浄の魔法”で小ビンと小ビンのフタを洗浄して、リリオーネとフロレーテに渡す。

「えへへ、そうだった」とリリオーネ。

「いってきます!」とフロレーテ。

 そんな感じの6時間は大ビン8本、インプとピクシーの成果だった。


 最初のフェアリーが笑顔で帰ってきたのは、夕方になってからだった。

「きみがフェアリーでは一番初めに帰ってきたんだけど、なんで時間がかかっているか分かる?」

「え?みんなまだ帰ってこないの?あたしは夕方になったから帰ってきたんだけど?そう言えばさっきお菓子を食べてた時に、『ピクシーの護衛で出るお菓子より多く出すはずがないから、世界樹の樹液を早く集めてもお菓子出ないよ』って言ってる子がいたけど、それでかな?」と最初に帰ってきたフェアリー。

「ああ~~。まあそれはそうだけど、まだフェアリーの木を切られないようにフェアリーが役に立つ事を証明するって言う課題があるでしょ!」

「大丈夫よ~~。王様はそんな事する人じゃないわ!目を見てうなずいてくれたって、代表で王様とアルヴィンの謁見についていった子が言ってたわ!」と最初に帰ってきたフェアリー。

「そんな事ぐらいじゃ、フェアリーの木を切らない理由にはならないよ! 王都中の花と言う花がむしられ、王都中の壁・天井・道路・ろうかがラクガキだらけになった時、笑って許してくれる人が何人いるか……。そうなれば今は好意的な王様も、態度たいどを変えるかも……」

「そんな!あんまりよ!花をむしって花の蜜を吸うのも、壁や天井や道路やろうかにラクガキを描くのも、フェアリーの習性じゃない!」と最初に帰ってきたフェアリー。

「だから、気を付けないと。ね!」

「あたしみんなに言ってくる!」と最初に帰ってきたフェアリーがまた世界樹に登っていく。


 それから日が暮れて夜になったが10時間後深夜に、大ビン1000個と小ビン5000個は世界樹の樹液でいっぱいになった。

 世界樹の樹液を集め終わって達筆なインプ・タンポポにラベルを書いてもらっている時、体長18メートルのグリーンドラゴンがのっそりと現れた。

「お前たち!ここにあったドラゴンの保養所と、ここにいたはずのドラゴンを知らないか?」とグリーンドラゴン。

「レッドドラゴンのエマさんのお友達ですか? ドラゴンの保養所は世界樹になったんですけど」

「そうかドラゴンの保養所はなくなったのか、ではエマは責任を感じて姿を消したか……あるいは……」とグリーンドラゴン。

「レッドドラゴンのエマさんのお友達なんですよね?」

「ああ!親友だった! おしいやつをなくしたものだ……」とグリーンドラゴンさん、大粒の涙を流し始める。

「いや! レッドドラゴンのエマさん、まだ死んでないよ?」

「いや!エマが守っていたドラゴンの保養所が世界樹になっているのなら、エマは十中八九死んでいる」とグリーンドラゴンさん。

「いやいや、死んでないって!」

「いやいやいや、絶対死んでる! あいつは責任感が強い奴だった! 間違いない!」とグリーンドラゴンさん。

「あの……ちょっと待ってくださいね。フェアリーのロロ!近くにいたらこっちに来て!」

「は~~い!」とフェアリーのロロ。

「今、レッドドラゴンのエマさん、どこにいるかわかる?」

「今、世界樹の中に空間魔法で広がるダンジョンの攻略中だって!」とフェアリーのロロ。

「だそうです」

「エマが意味もなく、ダンジョンにもぐるはずがない! あいつは慎重な奴だった! お前たち!私を罠にはめようとしているな! そうはいくか!おろかものめ!」とグリーンドラゴンさん。

「ロロ!エマさんに親友のグリーンドラゴンの名前を聞いて!」

了解りょうかい~~!……グリーンドラゴンに親友はいないって!」とフェアリーのロロ、笑顔で答える。

「……」とグリーンドラゴンさん。

「じゃあ、グリーンドラゴンの友達の名前を聞いて!」

了解りょうかい~~!……グリーンドラゴンに友達はいないって!」とフェアリーのロロ、輝く笑顔で答える。

「じゃあ、エマさんより少し大きいグリーンドラゴンの知り合いの名前を聞いて!あ!視覚情報も送って確認して!」

了解りょうかい~~!……幼なじみのルイーズだって! からかってごめんって!」

「エマと離れた場所でしゃべれるのは本当の様だな……。そうか……私は親友ではなかったのか……」とグリーンドラゴンのルイーズさん、うなだれて落ち込んでいる。

「ルイーズは親友だって!エマちゃんが!」とフェアリーのロロ、いたわるようにグリーンドラゴンのルイーズさんに話しかける。

「だが私とは遠く離れていてもしゃべれる魔法をつながないのに、このフェアリーのロロとはつないでいる……」とグリーンドラゴンのルイーズさん、フェアリーのロロをぼんやりと見つめる。

「それは急に襲い掛かってくるかもしれないのでフェアリーのロロが監視もかねて、エマさんとロロの両方に、ロロがマナを出して魔法を習得してもらったんです!親友の証(あかし)とかではないです!なんならルイーズさんもマナのあまってるフェアリーに監視してもらいますか?お互いの感情がつつぬけになる問題のある魔法なんですけど。ルイーズさんがいつ襲い掛かってくるとも分からないんで!」

「そうだな、なら、お願いしようかな?」とグリーンドラゴンのルイーズさん。

「みんな~~!マナが余っていてグリーンドラゴンのルイーズさんと親友になってもいいって子がいたら、こっちに来て!」

「(中略たくさん)「は~~い」(中略たくさん)」と言って58匹のフェアリーと5匹のインプが飛んできた。

「じゃあ、ジャンケンして1匹えらんで!」

「(中略たくさん)「は~~い。最初はぐ~、ジャンケン、ホイ」(中略たくさん)」フェアリーとインプの人数差の通り、最後まで残ったのはアオスジアゲハ見たいながらの羽を持った1匹のフェアリーだった。

「あたし、ルル!ルイーズちゃん!よろしくね!では説明を始めます!……(中略)……」ぼくやロロの使った説明そのままに説明して、同じようにフェアリーのルルとグリーンドラゴンのルイーズは魔法を習得した。


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