第1話 彼女と大家さんの優しさに挟まれて
「もう今年も終わりだねー」
「私達の季節が来るね。寒ければ寒い程、調子が上がってくる感じ」
私達は北の地方に住んでいて、冬は寒くなるのだけど、私も彼女も寒さには強かった。逆に暑さには弱くて、今年の夏は二人でグッタリと過ごしたものだ。北国で三十五度近くまで気温が上がるのはおかしいと思う。長く生きていると、地球の温暖化というものが実感できた。
「荷物、私も持つってば。過度に女の子
「いいの。私の方が、筋力があるんだから。貴女のために恰好をつけさせて」
買い物の帰り道で、いつも通りの
彼女の方が筋力はあるから、確かに向こうから
「あら、買い物帰り? 相変わらず仲が良いわねー」
「あ、
「……どうも、大家さん」
私と彼女が住んでいる、アパートの大家さんと
大家さんは絵に描いたような善人で、何かと野菜などを私達にお
「……先に行くから、大家さんと話してていいよ。では……」
そう私に言って、最後に大家さんに軽く
「若い子の会話を邪魔しちゃったかしらねぇ。私が貴女に話しかけると、いつも
「あー、難しいと思いますよ。彼女を
「まあ、何それ。まるで野生動物みたいじゃない」
大家さんが
「私は彼女の、
「あらあら、まぁまぁ。こんなオバちゃんに若い子が頭を下げるものじゃないわよ。お年寄りの方と話してるみたいだわー」
私も長く生きているので、どうしても
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