第74話 【試験・2】
翌日、学園に登校した俺はリサにエルドさんから許可が下りたから、商会でも勉強会が出来る事を伝えた。
「えっ、学園の外でも教えてくれるの?」
「まあ、昼休みだけじゃ間に合わないと思うからね。それに今週は、実技訓練の後の授業は全体で休みになってるんでしょ?」
「うん。基本的に学園優先だから、試験時期はお休みになるから昨日はいつもより早くに帰れたから、家で勉強しようと思ってたけど、いつの間にか薬の調合してたんだよね……」
「多分、一人でやるとそういうのに手が出ちゃうし一緒に勉強した方が効率は良いと思うけど、どう?」
そう聞くと、リサは「絶対に行く!」と言った。
リサは勉強会ではあるが、学園の外でもアリスと一緒に居れるからか「楽しみ~」と嬉しそうに言った。
「リサ、僕の事言ってくれた?」
「あっ、忘れてた。ごめんね~、レイン」
俺とリサが話していると、そこにレインが加わった。
クラスの人達はアリスが人見知りだと知っている為、アリスとずっと行動を共にしている俺にはあまり近づかないで遠くから見守っている。
そんな中、レインだけは偶にだが話をしている。
レインはリサの幼馴染らしく、そこ繋がりで少しだけアリスもレイン君には心を開きかけてはいるが、まだ話しかけるのは程遠い感じだ。
正直、俺としてもレインの存在は大きく、彼には感謝している。
「アルフ君、良かったらだけど僕もその勉強会に参加させてくれないかな? 僕もそこまで、勉強に自信がある訳じゃないんだよね……」
「俺個人としては別に良いんだけど、使う場所が商会の建物だから俺個人では判断できないんだよね……」
「あっ、そっか……」
「それにアリスの許可も必要だしね……。アリス、レインが勉強会に参加しても良いかな?」
そう俺は隣で話だけ聞いていたアリスに聞くと、アリスは頷き「いいよ」とレインの参加は認めてくれた。
「となると、後はエルドさんの許可だけだけど、今日取れるか分からないけど一応来てみる? 無理だったら、帰る事になるけど」
「一応、ついて行くよ。それで駄目だったら、お昼休みだけでも教えて欲しいかな」
「うん。そこは約束するよ」
そうしてその日の学園が終わった後、商会の馬車にリサとレインを乗せて商会へと帰宅した。
帰宅後、俺はエルドさんの所へと行き、レインも一緒に勉強会に参加して良いか聞いた。
「ふむ、その子もアリスの友達候補という事か?」
「そうですね。クラスの人達の中でリサが一番アリスと距離が近く、その次がレインですね」
「そうか、ならその子も一緒に勉強会に参加させても良いぞ。アリスには男女関係なく交友関係を広めて欲しいからな、そうしないといずれ商会を継ぐとなった時に大変になるからな」
「そうですね。学生の内に少しでも慣れておけば、大人になった時の苦労は減ると思いますしね」
そうしてレインの参加も無事に降り、俺とレインとリサを寮へと案内した。
「ルクリア商会って昔から知ってたけど、こんなに敷地が広かったんだ……」
「うん。俺も最初の頃は驚いてたけど、流石に今はもう慣れたよ」
「お父さん達、私が先にルクリア商会の建物の中に入ったって言ったら、凄く驚くだろうな~」
リサのその言葉に「リサの両親は、ルクリア商会とは別の商会と取引してるの?」と聞いた。
「うん。今は別の商会と取引してるみたいだけど、いつかはルクリア商会と取引するのが夢だって言ってるよ。私達職人からしたら、ルクリア商会って憧れの商会だからね。ルクリア商会に認められたら、一人前だっていう職人もいるくらいだよ」
「そうなんだ。って事は、リサもいつかはルクリア商会と取引したいって思ってるの?」
「勿論。一人の職人として、やっぱりルクリア商会に認めて貰いたいからね」
そうリサは自分の夢を語り、俺達は勉強会を始めた。
まず最初に、各自の得意な科目と苦手な科目を言い合うと、アリス達は揃って〝得意・歴史/苦手・算術、魔法学、商売術〟となった。
「歴史は皆やっぱり得意なんだね」
「歴史って小さい頃から読み聞かせとかで聞いてるから、それで多分得意なんだと思う。誰々が活躍したとか、皆結構覚えてるからね」
「まあ、確かに小さい頃ってそういう本で色々と覚えたりするもんね。逆に算術とかは、大人になっても出来ない人が多い位には難しいからね」
「ある程度は出来るけど、やっぱり苦手かな~」
そうしてアリス達は一番苦手なのは、全員揃って〝算術〟という事も分かった。
その他の教科は、それぞれ得意不得意が分かれていた。
「それじゃ、取り合えず今日の所は〝算術〟を徹底的にやろっか。少しでも理解できるようになった方が、試験に役立つと思うからね」
そう俺は言って、早速算術をアリス達に教え始めた。
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