Dec.7th 見返り

「クリスマスプレゼントは何が欲しい?」

「切り出してくれて助かるわ。お互いなしにしましょう」

「前テディ・ベア見てたよな」

「そんな訳ないじゃない? お願いだからやめてね」

「俺は何もいらないからさ」

「そうはならない。全く気を引けなかったらやっぱり落ち込むわ。傷付けたくないの」

「その辺に矛盾を感じるんだよな」

「どういう意味?」

「俺を傷付けたくなくて付き合っているのと、傷付けたくて付き合っているのだったらどっちだ?」

「……傷付けたくて付き合うの意味が分からないけど」

「葉那は傷付いてる。自分でも分からなくなるくらいずっと。自分に向けるくらいなら俺に向けて欲しい」

「カウンセリングの実習かしら? 私を解ろうとするのは辞めて。恋人ごっこに満足できないなら今すぐ別れるわ」

「そうだな、悪かった。見返りを要求する」

 ぎゅっと抱きしめた。テディベアはやめてね、と彼女は呟いた。




 

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