★12月9日 (穂乃香からの手紙③)

 眠ってたと思うんです。気が付くと、知らない場所でした。空は群青色で下の方だけ、まるで苺シロップみたいな色が広がっています。私はいつの間にか植え込みの中に寝ころんでいて、自転車もそこに倒れていました。

 私はいつも林を抜けたら左に曲がっていたので知らないだけで、林から大きな道路を横切ったらここにたどり着くんだな、と軽く考えていました。

 でもまるで外国の町並みみたいで、とても私達の町の一部なんて思えませんでした。そう、まるで私がいつも見ているあの外国の本の挿絵の中みたいなんです。そしてそう思った瞬間、目の前に小さくて黒い影が見えました。ミーニャが目の前の舗道に座ってこちらを見ていたんです。そして目が合うと、まるでついて来るようにと言うように、チョコチョコと私の前を歩き始めました。

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