灰かぶりのティコ 365日の魔術学校300文字日記

724日目：学生寮へ無事に戻ってきたんですが……。

　八七代魔帝暦（まていれき）二四年・銀羊（ぎんよう）の月第二十四日・属性(風)・天気：晴れ

　夕方、魔術学校の学生寮へ無事に戻り、受付（うけつけ）で寮監（りょうかん）に帰寮届（きりょうとどけ）を出していたら、どこからか駆（か）けつけてきたアーシェにいきなり無言で抱（だ）きしめられました。

　それに驚き思わず声を上げると、騒（さわ）ぎを耳にした生徒たちが、食堂や談話室（だんわしつ）から興味深（きょうみぶか）げに顔を覗（のぞ）かせます。

　アーシェ！　目立ってる！　目立ってるから！　寮監も、青春だー、とか言って優しげな微笑（ほほえ）みを向けてこないでください！

　そうして、好奇（こうき）の視線に晒（さら）されつつ、慌（あわ）てふためいていると、アーシェが「これは私を心配させた罰（ばつ）だから……」なんて耳元（みみもと）で囁（ささや）いてきます……。

　た、確かに急いでたので、帰省（きせい）することは伝え忘れてましたけど！　うぅ……お願いですから、早く離（はな）れてください！