　八十七代魔帝暦（まていれき）二四年・水瓶（みずがめ）の月第八日・属性(土)・天気：雨

　午後、初級降霊術（しょきゅうこうれいじゅつ）の授業後、例の個別課題を提出したんですが、夢の件も正直（しょうじき）に報告すると、ユリン先生からそれはそれは深（ふか）～いため息が返ってきました。

　そうして、これはもう私の手には負（お）えないかな……、なんて呟（つぶや）きながら、ヌリアが座っている安楽椅子（あんらくいす）のミスラへ視線を向け、弱（よわ）り切（き）った表情を浮かべます。

　なんでも、私が経験した、夢のなかで自分を多数複製（たすうふくせい）し、それらに同時並行（どうじへいこう）で任意（にんい）の作業を実行（じっこう）させ、制作物（せいさくぶつ）などを現実へ持ち帰るというのは、そこにミスラさんという霊的存在（れいてきそんざい）が関わっていても、先生が担当する降霊術（こうれいじゅつ）や死霊術（しりょうじゅつ）の領域（りょういき）を超（こ）えているんだとか……。