612日目:放課後の空き教室

 八十七代魔帝暦まていれき二三年・山羊魚やぎうおの月第三日・属性(風)・天気:晴れ


「姉さん、ハールに告白されたんだって?」


 放課後、話があるからと呼び出された空き教室。窓辺まどべ夕陽ゆうひを背にしたカルド君は、感情の読めない平坦へいたんな声で一言ひとこと、そう私に問いかけてきました。

 

 なんで? どうして? 様々な疑問が胸中きょうちゅうめぐるなか、この場は誤魔化ごまかそうと愛想笑あいそわらいをかべ、適当てきとうつくろう言葉をならべようとした瞬間――、


「姉さん!」


 ――それを見透みすかしたかのように、先程さきほどとは違い声をあららげるカルド君。

 おたがいが無言になり、あたりは静寂せいじゃくつつまれます……。


 そうして、が完全に落ちると、カルド君は「ゴメン、頭を冷やすよ」という言葉を残し、教室から出て行きました……。

 私は、私はどうすればいいんでしょう?

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