　八十七代魔帝暦（まていれき）二三年・巨蟹（きょかい）の月第二十八日・属性(闇)・天気：晴れ

　夕方、試験勉強の息抜（いきぬ）きに、学生寮の裏手（うらて）にある森を軽く散策（さんさく）していたら、そこにはなぜか未来の騎士団長様（きしだんちょうさま）の姿が！

　慌（あわ）てて木陰（こかげ）に身を隠し、こっそり様子を覗（うかが）うと、その足元には無数の蝋燭（ろうそく）が並べられています……。

　なるほど、どうやら彼は独（ひと）りで魔力制御訓練（まりょくせいぎょくんれん）をおこなっているようです。

　ただ、あまり上手（うま）くいっていないのか、先程から蝋燭（ろうそく）には全（まった）く火が灯（とも）りません……。

　うん……私も経験しましたけど、焦（あせ）れば焦るほど失敗するんですよね、この魔力制御訓練。そうして、それでまた余計（よけい）に焦るという悪循環！

　さておき、ここは見なかったことにして、立ち去りましょう。彼も秘密の特訓なんて、誰にも知られたくないでしょうしね。

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