灰かぶりのティコ 365日の魔術学校300文字日記

435日目：夢の粉

　八十七代魔帝暦（まていれき）二三年・巨蟹（きょかい）の月第九日・属性(全)・天気：雨

『廉価版（れんかばん）・夢の雫（ドリーム・ドロップ）（仮）』の試作品（しさくひん）ですが、薬効（やっこう）や安全性を確認するため、今日からサレナの部屋にある魔術工房（まじゅつこうぼう）で、専用の鼠（ねずみ）を用（もち）いた動物実験をおこなっています。

　しかし、必要なこととはいえ、謎（なぞ）の薬を飲まされる鼠たちはちょっと可哀想（かわいそう）ですね……。

　ちなみに、投薬（とうやく）するにあたり、そのままだと扱（あつか）うのが難（むずか）しかったため『廉価版（れんかばん）・夢の雫（ドリーム・ドロップ）（仮）』はすり潰（つぶ）すことになりました。

　結果、小石のような大きさと見た目だった廉価版は、水色の粉末（ふんまつ）になったんですけど、これはもう『夢の雫（ドリーム・ドロップ）』というよりは『夢の粉（ドリーム・パウダー）』ですね。

　よし……ずっと『廉価版（れんかばん）・夢の雫（ドリーム・ドロップ）(仮)』という名称（めいしょう）なのもなんだか味気（あじけ）ないですし、今後はそう呼（よ）ぶことにしましょう！