298日目:召喚されたのは、――でした。

 八十七代魔帝暦まていれき二三年・水瓶みずがめの月第二十三日・属性(土)・天気:晴れ


 ぐすんっ……使つか契約術けいやくじゅつの授業日だったんですけど、もう意味が分かりません!

 先生が使つか召喚しょうかんよう魔術陣まじゅつじんを改良してくれたおかげで、今までと違って召喚自体は成功したんです。成功したんですが――、


 ――なんで、例の安楽椅子あんらくいすが出てくるんですか?


 魔術陣の中心に、キーコキーコとれ動くそれが現れた時の恐怖と絶望感といったら、今思い出しても涙が出てきます。

 確かに精霊などが宿やどった品々、いわゆる『知性ある道具』を使い魔にしてる魔術師はいますよ? でも、これは違うと思います!


 うぅ……先生に泣きつき、今回の椅子は強制送還きょうせいそうかんして、後日もう一度だけ召喚に挑戦できることになりましたが、次は大丈夫ですよね?

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