僕の決意

僕はさっきのウィリアムの真っ直ぐな眼差しに心臓をドキドキと震わせながら、街歩きを楽しんだ。西洋風の街は僕には異国情緒を楽しめるものだった。あ、異世界情緒?


騎士団での食事で分かっていた通り、立ち寄った食事処ではシンプルな味付けのスペアリブのようなものが出てきた。僕は大学生になってから一人暮らしはしていないものの、友人達で集まって鍋パーや、飲み会などをする機会が多かった。



自然ガヤガヤと料理をする事も多くて、目の前の料理よりは美味しいものが作れそうな気がした。料理上手な友人がこの世界に飛ばされていたら、ひと財産築けたんじゃないかと思ってクスッと笑った。


ウィリアムは僕を見つめて美味しいか尋ねてきた。僕は思い切って言った。


「食べきれないほど量が多いですね。僕の生まれ育った場所では、こんなに食べる人の方が少なかったですから。もし機会が有れば、騎士団で僕の故郷の料理をウィリアムさんにご馳走したいです。


ここの料理とはまた違った美味しさなんですよ。」



そう言うと、ウィリアムは嬉しそうな顔をしてそれは楽しみだと言った。僕はこうして好きな人とデートもどきの時間を過ごせるのが、くすぐったい様な気持ちで自然口元がニマニマと緩んできてしまった。


元の世界では胸をドキドキさせる様な相手に巡り合わなかったのだから尚更だ。馬になったり、とんでもない事ばかり起きてはいたけれど、そんな僕がウィリアムに出会えた事はご褒美のような気がした。



一方で僕はウィリアムが、果たして男も恋愛対象なのか判らないのが気になっていた。少数派の女性だけしか愛せない人だったら…。僕は騎士団を離れたこの街歩きで、勝負をかけるべきなのかなと思い始めていた。


どうする?告白する?でも会ったばかりで、それもおかしいかも…。身体から落とす?…僕、経験ないけど。僕は自分で押し倒されたい願望があるのでいわゆるウケってやつなんだけど、もしウィリアムが男もイケるとして同じウケだったら?



僕は二人でベッドに横になりながら、お互いにのし掛かって来るのを待っている状況を思い浮かべた。実際、ガチムチな騎士たちの中では、ウィリアムは若くて綺麗だから、そっちの可能性が高い。


街の雑貨屋を冷やかしながら、ウィリアムを横目で見つめて僕は決心した。ウィリアムを誘ってみようって。最悪、ウィリアムを押し倒すのもやぶさかでない。


僕は人間生活に後悔を残したくなかった。そう、僕が人間なのは明日もそうだという確証がないんだからね!

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