第252話 ならば…

 その日の冒険科の授業は最初から荒れた。

 

 ………何故か?


 原因は『修学旅行』。………そして『俺』である。


 その日の講師はA級冒険者のアラド君。いつもならばB級かC級冒険者が一人にD級、E級の冒険者数人がお手伝い。…というような構成なのだが、本日は講師役としては滅多に来ないアラド君が来た時点で俺も察すれば良かった…と今さらながらに少し思う。

 くっ…いつも来てくれているB級C級のお姉さんたちが良かった…。


「今日は修学旅行でのパーティー編成を行」「「「よぉ~し、ジャンケンで勝負だお前らっ!恨みっこ無しだぜっ!」」」「「「望むところっ!!」」」「………………」


 アラド君の言葉を途中で遮り、何やら勝負が始まる。そして沈黙するアラド君。


 おい、アラド君はツッコミだろう…何故ツッコまんのん?…と、この時の俺は思っていた。

 ちなみに「違いますけどっ!?」と俺の脳内にツッコミが入ったような気がするが、ソレは多分気のせいだったのだろうと思う…。

 そして…


「よっしゃあああぁっ!!」

「ちくしょおおおぉっ!!」


 と勝負が着いたのか生徒二人の声が響く。ようやく決着か…。って、いつも通り、俺の争奪戦だったらしいジャンケン大会が終わり、「アレ?俺の意思は?」と思っている一方で「今回はあそこのパーティーか…」とも思う。

 そしてだんだんと静かになっていくなか…アラド君が口を開く。


「………はい。お前らが静かになるまで十五分掛かりました」


 アラド君………ソレが言いたかっただけじゃない?と思わないでもないが、俺はソレにはツッコミを入れず、アラド君の次の言葉を待つ。


「………で、だ。せっかく決めてもらったところ悪いんだが………………ユーリウスは別だ」

「なん…「「「なんだってえええぇっ!!?」」」…だとっ!?」


 俺より皆の方がビックリしているのは何でなんですかね?


 ふとアラド君を見ると、ニヤリ…としてやったりな表情。そして皆の視線は俺へと…


「いやいや…何にも聞いてないから。…で、どういうこと?アラド君」

「君呼び止めろ、ユーリウス。まあ理由はこれから………いや、学校が終わったらギルドに来い。そこで話す」


 …とアラド君。


「もちろんアイアリーゼさんはいるんだろうな?」

「フッ…何故学校行事にギルマスが関係する?いるワケがないだろう…」


 ドヤァ…と言い放つアラド君。…が、しかし、だ。間違えているぞアラド君。アイアリーゼさんがいないのなら、俺が行くワケがないだろう…。まだまだ分かっていないなアラド君。


「フッ…ならば断るっ!」

「何でだよっ!?来いよっ!?」


 この後、アラド君が「うがああぁっ!」となったのは言うまでもない…。

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