第250話 しをり

 父さんに即答でお断りされた俺は、早々に

『修学旅行に行かない』という選択肢を諦めた。

 恐らく、いくら考えても俺は行くことになるだろう。無駄に考えるはさっさと切り捨て、今後をどうするかを考えた方が建設的だし、精神的にも良いだろう。


 俺は自室からヴァーチェ郊外の錬金部屋へと『転移』で跳び、学校で配られた『修学旅行のしをり』に目を通し、概要を確認する。


 行先:クアンタム王国王都クアンタム

 期間:二週間~三週間

 目的:クアンタム王国の歴史・騎士団と軍の演習見学


 大きく要約すると、こんな感じか…。…いやいや、ツッコミどころ満載なんですけどっ!?


 まず国名っ!なんだ、その、国に入ったら真っ裸にされて心が通じちゃいそうな国名はっ!?…いや、まあ、今さらなんだけれどもっ!?


 期間っ!なんで曖昧になってるんですかねっ!?まあ、この異世界ファンタジーな文明的にきっちりかっちりと旅行なんてのは難しいのかもしれないけれどっ!?


 目的っ!………は、まあ、普通………か?そこはちょっとわからないけれど…。


 そして修学旅行にありがち…な、グループ分けは、と…。


 班:選択科目にて班分け。期間中はその班ごとでの行動となる。


 なるほど…。となると俺は冒険科でのグループ行動、となるワケか…。

 まあ、ソレは良い。ソレは良いのだが…。


 移動手段:ヴァーチェ~クアンタム王国国境:飛竜便

 国境~王都:馬車


 …と、なっているのだが…。

 なるほど…国境からは貴族科、商業科の馬車を中心に、騎士科、魔法科を配置。その外側に冒険科を配置する…と。

 ナニソレ、メンドクサイ…。


 いや、まあ、隊列的には合っている…のか?…魔物が出てきたら冒険科が一番危険なんだけれども…。

 う~~~ん、ソレも込み…なのかな?


 それよりも…だ。なに?『飛竜便』とか在るの?


 そして…


 同行者:冒険者ギルド


 これは………アラド君辺りが来そうだな…。なんとかアイアリーゼさんが来るように出来ないだろうか?…いや、さすがに無理か。

 いや、ワンチャンあるかもしれないから、一応聞くだけ聞いてみようか?八割方無理…だとは思うけれど…。


 う~~~ん、しかし、こうなるとアレだな…。アイアリーゼさんが来れない、となるといよいよ俺に楽しみが無くなるワケなんだけれど…。

 …行く意味、在るか?…と考えてしまうワケで…。


 まあ、父さんに言われている以上は行くけれども…。う~~~ん、何か楽しみ…が欲しいな。

 とは言っても、クアンタム王国に関する情報が無い。仕方ない、ちょっと調べてみようか…。


 そして俺は翌日からクアンタム王国に関する情報を出来る範囲で調べることにした。

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