第188話 びっくりしているじゃないか…
カチャリ、カチャリ…と銀に輝くナイフとフォークを順にテーブルに置いていくシーバス。
別に食事の準備をしているワケではない。王城に入る際の持ち物検査でスルーしたから出せと命令したら、えらい数を出してきやがった。
いや、マジで何処に隠していたんだソレ…。検査してる衛兵さんが凄い顔でびっくりしているじゃないか…。いや、俺もびっくりだよ。
確かに…確かに悪魔の戦う執事さんのことを教えたのは俺だが、その数はドン引きだよ…。
…あれ?
間接的に俺が悪いことになるのかコレ?
「家の執事がどうもすみません。進んでも良いですか」
俺は有耶無耶にして進むを選択。びっくりしてる衛兵さんに話し掛け、案内を続けてもらう。
城は質実剛健さを持ちながら、城内は豪奢に飾り付けられている。それでも最低限…といった感じか…。
文官、武官らしき人たちとすれ違い、貴族たちとすれ違い、長い廊下を歩く。
執事…シーバスを連れているとはいえ、子供が城内を案内されているのは、やはり珍しいのだろう。
二人以上でいる人たちとすれ違うと、後ろからひそひそ…と小さい話し声が聞こえてくる。
ひそひそするのは止めてっ!?と叫びたくなるが、ここは我慢の一手しかない。
さすがの俺も城内では暴れられない。
「時と場合によりますか」
当たり前だろっ!そんな簡単には暴れねえよっ!というか考えを読むんじゃないっ!案内中で衛兵さんがいるんだからっ!
まったく…うっかり口に出したら、面倒なことになっちゃうでしょうが…。
そうして長い廊下を歩き、目的の部屋へ着いたようだ。
ここは待合室。
謁見の間はすぐ近くとのことで、今の謁見が終わったら次が俺の番らしい。
「番になりましたら係の者が呼びに来ますので、こちらでお待ちください。では、失礼します」
ビシィッ、と敬礼をして部屋を出る衛兵さん。
何処の世界も敬礼は然程、差はないんだな…。右手をこめかみ辺りに持ってきていたのは警察だったか軍隊だったか…どちらの敬礼かは忘れたが、俺はそんなことを考えていた。
まあ、どちらでも良いんだが…。
通された待合室は当たり前ではあるが、ベッドや浴室などは無いものの、宿泊したスイートルームに負けず劣らず…といった感じの造りだった。
まあ国のトップに招かれているんだから、粗末な部屋には押し込めないよな。
ボスンッと大きく豪華なソファーに座り、寛いで待っているとしよう。
あっ、シーバス、お茶お願いね。
やはり執事やメイドを連れてくる人もいるのだろう、お茶を淹れるための物や設備は用意されていた。
茶葉も………美味いな、この紅茶。
「王都で流行りのお茶の中でも最高級品ですね」
とはシーバスの言。
このお茶はたくさん買って帰ろう。そう思いながら…
さて………王様が俺に…
………一体何の話ですかね。
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