第161話 止めないけど?

「あ…あの…」


 未だ、絶賛気絶中の自称騎士のかまってちゃん困ったちゃんの処遇を…長えな。処遇をどうしようか考えていると、リリアーナ王女が恐る恐る話し掛けてくる。王女の取り巻きたちや、まだ散らない野次馬たちからは「王女、頑張ってっ!」やら「王女、ファイトッ!」やら応援の声が聞こえる。

 …えっ?なに?俺…そんなに怖がられてるの?


「そ…その、処遇に関してはこちらに任せていただいてもよろしいでしょうか?悪いようにはしませんので…」


 …う~~~ん………正直、考えるのが面倒だから、そうしてもらえると助かるっちゃ助かるんだけど…。

 あまり甘くされても困るんだよなぁ…」


「や、やっぱり私わたくしには無理ですぅ…」とか言いながら涙目になりパタパタと取り巻きの元に行くリリアーナ王女殿下が可愛い…のは別にいいんだけれど…あれ?なんか俺やっちゃいました?


 なになに?悪い顔してニヤリとしながら声が出ていた…なるほど。やっちゃってんな…。

 まあ、良いけど…。


 王女のプルプル震えている姿は可愛いが、きっぱりと伝えておこうか。


「リリアーナ王女殿下、処遇をそちらにお任せするのは構いません」


「そ、そうですか。ありがとうございます」


「ただし…」


「えっ?た、ただし…?」


「次に俺やゼハールト家の家族に手を出そうというのなら…」


「………………」


「ソイツに連なる全てを潰す」


「っ!?」


「そう伝えておいてください」


 低い声で静かに、だが強めに言う。

 王女はもう声にならないのか、コクコクコクと涙目で頭を上下に振る王女様。…ちょっと可哀想だったか。

 しょうがない…。


 テクテクと王女に近付き、スッ…と手を上げる。取り巻きたちは動けず、王女もビクッとしたあとにギュッと目を瞑った。

 俺、そんなに怖がられることしたかね?いや、言ったか。まあ、ソレはソレで…


 なでなで…


「………えっ?」


 おお…この金髪縦ロール、良い触り心地である。

 俺がまだ第二次成長期に入ったばかりだから、背丈は王女の方がちょっと上で格好はつかないが…。


「「「えええええっ!!?」」」


 …なんだよ、うるせえな。

 そう思いつつ、周りを見渡す。…というか睨みつけると、声は止まったものの未だ少しだがざわついている。

 ふっと見ると目の前には顔を真っ赤にした王女様がいた。

 うわ、プシューと煙を出しそうなほどに顔が赤くなっているな。まあ、だからと言って止めたりしないんだけど…。




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2022年、最後の投稿です。いつも読んでいただいてる皆様ありがとうございます。良いお年をお過ごしください。

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