第68話 止めてくれませんかね?
俺が転生者であることを義祖父さんとシーバスに語ったあと、俺も、ゼハールト家も問題らしい問題も無く、少し時が進む。
順調だな…。
俺がそう思った矢先、問題が起こるのだが…『順調だな…』をフラグにするのは是非とも止めていただきたい。
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父さん:アリウス=フォン=ゼハールトが帰って来た。首都での単身赴任で行っていた仕事をヴァーチェで出来る仕事に変えてもらい、引き継ぎを済ませ、ようやくの帰宅である。
このことに文句を言う貴族もいたようだが、父さんは気にせずに自分の意思を貫き通したようだ。家族と過ごしたい…と。
シーバスの教え子の中で一番戦闘力の高い者を側に付けていたようで、その執事も帰還。
「先生…首都での護衛任務完了しました」
そうシーバスに彼が報告しに来た時は「シーバスが先生っ!?」と少し吹き出してしまったのは内緒である。
だって今はちょっと強い、立派なマヨラーだもの。
「引き続き、ご当主様の護衛をお願いします。期待していますよ」
キラリとモノクルを光らせ、弟子にそう言うマヨラーに再度吹き出したのは言うまでもない。
帰って来た父さんはまず第一夫人、第二夫人と話し合いを始める。
話の内容は知らないし、知ろうとも思わないが、数日~一週間近く…粘り強く父さんとの話の結果、二人の夫人がみんなに謝罪をしたのである。
第二夫人ライラは大分病み気味だった第一夫人マイアを支え続け、マイアはそれを受け、壊れることなく過ごしていた…が、父さんの介入により良い方向への変化に父さんがしてくれたようである。
二人ならんで下げた頭を上げた時の顔は、まるで憑き物が落ちたかのような…そんな涙混じりの笑顔だったのが印象に残っている。
二人の謝罪後に改めて義祖父さんと父さんが謝罪を重ねた。これから…で申し訳ないが、良い家族にしよう…と。
おい、義祖父さん…顔、真っ赤だぞ?
レイラ母さんが二人の夫人と笑い泣きで抱き合っているのは、ちょっと良いシーンだった。さすがうちのレイラ母さんだ、と俺もセイ兄もニッコリである。
ゼハールト家に良い風が吹き始め、家族全員が揃った。…いや、ライラ義母さんとレイラ母さんの親はまだ見てないな…。
まあ、とりあえず…これからやり直していくことも、これから新しく作るものも、良い方向に…。
「マリウス、ユーリウス…ちょっと不味そうなことになっているぞ?」
と思っていたところに、グラム商会長が訪れ、そんなことを宣う。
商会長…そんな確定フラグな台詞は止めてくれませんかね?
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