第28話 理想郷!
ドサリ…と前のめりに崩れ落ちるシーバスを足元に見ながら一歩下がり、シーバスの反撃に身構える。
「………………」
あれぇ?反撃来ねえな…。
というかピクリとも動かねえ。…うん、どうやら一撃で倒してしまったらしい。
なんか凄え強者感出してたから、ちょっとくらいてこずるかなぁ…とか思ってたんですけど。
うん、全然起き上がる気配も無いね…マジで一撃で終わりらしい。
俺が拍子抜けしているとセイ兄がズンズンと詰め寄ってくる。
「ユーリ凄いっ!」
胸の前に両手の拳をギュッと握り締めながら、目をキラキラとさせているセイ兄。
さて、言い訳は用意はしてあるものの、セイ兄にはどう言おうか…なんて考えていると横から衝撃が…
『ムギュウ』
「…わぷっ!?」
何やらとても柔らかいものに包まれる。あと良い匂い。
また、どちらかの異母姉に抱き付かれたのだろう…天国のようである。
「シーバスを一撃って凄いじゃない!………あ、羽ふわふわぁ」
「異母姉さん、わたしも…あ、ふわふわぁ」
「いやぁ…天使の羽にも驚いたが、シーバスを一撃って…」
「本当に三歳…か?」
もう一人の異母姉には背中側から抱き付かれ、翼を顕現させてはいるものの、背中が幸せな気分に…。
異母兄たちが何か言っているが聞いてないふりをしよう…。
「異母姉さまたちズルいっ!ユーリは僕の弟ですよっ!」
「っ!?そうねセイリウス…貴方もいらっしゃい」
「はいっ!」と言いながらセイ兄まで抱き付いてきた。
そうか、ここが
「しかしシーバスはB級冒険者相当の力の持ち主だぞ?俺たちだって勝てないってのに…」
「…まあ天使の羽が生えちゃうくらいだから………やっぱ強いんじゃない?」
「三歳児が…か?」
「三歳児でも…かな?」
異母兄たちが話しているが、なんだその穴だらけの理由付けは…。
いや、俺もそんな理由にして誤魔化そうとしていたな…。
じゃあ、そのままにしておくか…。
そして…このままにしておけないことも片付けないとな…。
「シーバスっ!?起きなさいっ、シーバスっ!?」
「そ、そんな…シーバスが三歳になったばかりの子供に…」
俺は理想郷から抜け出し、二人の夫人に近付いていく。
「「っ!?」」
ビクッ…と二人は肩を震わせるが俺はゆっくりと、一歩ずつ、近付く。
「ユ、ユーリウスッ、こんなことをしてどうなるか分かっているのですかっ!?」
まぁだ、自分たちの方が上だと思っていやがるな…。まあいい…元々そのつもりだったし、とことん折ってやろう…。
俺は歩みを止め、ニヤリ…と口角を上げる。
夫人たちを見上げるかたちになるから多少格好がつかないが…
「どうなるんだ?………言ってみろ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます