相席

すごいがんばった!

心臓飛び出るかと思った!


事件はお昼に起こった


うちの職場の食堂は席が決まっていない

毎日お昼を取る時間がマチマチなので

その時々で空いてる席に座る事になっている

コロナ禍の影響で

ひとつのテーブルは対面の2人がけだ


とは言え『大体ココ』みたいな席はある


そして今日、食堂に向かうと

私の『ココ』の向かいに

想い人が座っていたのだ


『どうする、私?!』


今日は仕事が暇だったから

12時付近の食堂利用者は多いと思い

なるべく相席で…とは考えていたが

まさかその相席を想い人とするとは…


なんとも思ってない人なら

『お邪魔します』

って言って平気で座れるのに

想い人になるとそうはいかない


嫌がられるのもイヤだから

他の席に座ろうかとも考えたが

空いてるのに座らないのはなぜ?

と思われるのもイヤですごく悩んだ


瞬間的とは言え、悩みに悩んだ結果

平静を装って普段通りに相席する事にした


『いいですか?お邪魔します』


そのひとことでどれだけの勇気を使ったか


返事は………なかった……

顔を上げただけで、声は聞こえなかった


でももう椅子に手をかけていたので

そこからの移動も不自然だ


気が気じゃない状態で相席がスタートしたが

こっちとらまともに前も向けない

思わず隣のテーブルにいる

仲良しのお姉様方に話しかける


話しながらご飯やスープを準備したりと

諸々やっていたら、その間に想い人は

そそくさと席を立って相席は終了した


ホッとしたのと同時に色々な感情が頭を巡る


『私、大丈夫だったか?』

『変な人と思われてない?』

『なんで来るんだよって思われてない?』


これを書いている今でも

思い出すだけで変な汗が出る


片思い中は楽しいとも言うが

こんなドキドキは寿命が縮むだけだ


こんなんじゃ告白なんて出来るわけない


想い人の気持ちも分からず、

告白もできず悶々としているだけで

私の片思いの結末はどうなるんだろう



気持ちに気付いてくれないかな

告白してくれないかな



そんな都合のいい未来を期待しながら

また変な汗をかいている私…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る