第178話 インスタントカレーの味
「まあ、ようかんの他にも少しずつ甘い商品も発売していく予定だから、少しずつは収まっていくと思うよ」
今回アウトドアショップの能力のレベルが上がったことによって、新たな商品である塩飴や餅なんかが出た。それにチョコレートバーといった甘い行動食も他にあるので、それらも少しずつ販売していく予定だ。
棒状ラーメンを販売した時もしばらくの間その商品の人気が続いたが、別の商品を販売していくと分散して少しずつその売り上げも落ち着いてくる。ようかんも他の商品を販売することによって、しばらくすれば落ち着くはずだ。
「カレーもとってもおいしいです! お母さんもテツヤお兄ちゃんにいつもありがとうって言っていたです!」
「レーアさんも気に入ってくれたようで何よりだよ」
どうやらフィアちゃんのお母さんのレーアさんもレトルトカレーを気に入ってくれているようだ。元々カレーやチョコレートバーなんかは従業員のみんなにはいつも原価で分けてる。
「こちらのカレーも棒状ラーメンもとてもおいしくて、定期的に食べたくなってしまうんですよね」
「ああ。他の料理にはない、なんとも言えない依存性があるぞ。もちろんアンジュの手料理には及ばないけどな!」
俺もそうだが、カレーや棒状ラーメンなんかは週に一度くらいは食べたくなってしまう味なのである。たぶん他のお客さんも一緒で、定期的にカレーやラーメンを食べたくなるのかもしれない。
……あとドルファは相変わらず妹のアンジュにべったりなようだな。
「そういえば、保存パックに入った商品は王都や他の街には販売しないの?」
「王都や他の街にも販売したいところだけれど、保存パックの生産が間に合っていないからね。それにうちのお店では保存パックを回収して繰り返し使えるけれど、王都や他の街だとそうはいかないからなあ……」
この保存パックはグレゴさんの工房でひとつひとつ手作りで作っているから大量生産は難しいんだよな。うちの店で使用する分の確保でも結構な時間が掛かったし、王都みたいな大きな街で使う分はそう簡単に確保はできないだろう。
それにどちらにせよ、保存パックのリサイクルが難しいというのもある。定期的に馬車とかで保存パックを回収するということもできるかもしれないが、他の商品と違って煮沸消毒してからパックの中に商品を購入するので、手間も余分にかかる。
他の街には棒状ラーメンやインスタントスープやアルファ米を卸しているし、少なくとも当分の間は保存パックの商品はこのアレフレアの街での販売にしておく予定だ。
「また少し期間を空けてから別の商品を販売するつもりだから、当分の間は忙しくなると思う。みんなには悪いけれどしばらくの間はよろしくね」
今回アウトドアショップのレベルが5に上がったことで、かなりの商品数が増えた。その中には冒険者にとって役に立つ商品が数多くある。再来週くらいには別の新しい商品を販売しようと思っている。
次回は食品系以外で、その次は食品系といった感じで順番に新しい商品を販売していくことにしよう。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「テツヤさん、いらっしゃいますか?」
「テツヤ、いる?」
「はい、今開けます」
新商品の販売を始めた週の営業が無事に終わり、今日と明日は休日だ。今日はのんびりと庭でのんびり庭キャンプでもして過ごそうかなと思っていたところで、ベルナさんとフェリーさんがやってきた。
2人は基本的には王都で生活しているが、月に1度くらいの割合で、ここアレフレアの街までやってきて、王都や他の街へ販売する商品をフェリーさんの収納魔法によって運搬してもらっている。
「久しぶりだな、ベルナ、フェリー。元気そうにやっているようで何よりだぞ」
「テツヤさんもリリアも元気そうで何よりです」
「2人とも元気そうでよかった。早く2人に会いたかった!」
「………………」
満面の笑顔でそんなことを言ってくるフェリーさん。人見知りで初めて会う人には少し控えめなフェリーさんが、今ではこれほど眩しい笑顔で挨拶をしてくれるようになった。
「ベルナさんとフェリーさんも元気そうで何よりですよ。まだリリアと朝食を食べていないので、よかったら一緒にどうですか?」
「はい、いつも本当にありがとうございます!」
「もちろん食べる!」
……ただし勘違いしてはいけないのは俺が作る料理やアウトドアショップで購入したお菓子なんかを特に楽しみにしているという点だな。いつもとてもおいしそうに食べてくれるから、俺としてもすごく嬉しいには嬉しいが勘違いしないようにしなければ。
ちなみにランジェさんは今日の早朝に依頼を受けて別の街へと行ってしまったので、ちょうど入れ違いになってしまったようだ。
「先日話していたアウトドアショップの能力がレベルアップして、また新しい商品がたくさん購入できるようになりました。いろいろと試してほしいものもあるから、楽しみにしていてくださいね」
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