スティープボール
グループホースの南、イーストシティの北。二つの土地に挟まれるように置かれた空き地で、かつ自然的文化財に指定されている『隕石の落下地点』。
通常隕石が落下した地点は、巨大なクレーターが出来上がるはずだが、その地は元から周りの地形と比べて窪んでおり、たまたまその窪みにピッタリと隕石が落下したことで、今も灼熱の炎を燃え上がらせる"火の山"となっている。
勿論その熱さは火山の火口とは比べものにならず、一般人の侵入は禁止されている。
ただそれだけ熱ければ周りの土地に何かしら影響しないのかと言えば全くその通りであり、この一つの隕石によって世界全体の気温が若干上がっているせいで、直近のイーストシティでは真冬の間でも一定の温かさを保っている。
ただこの隕石は一部にとっては良い影響を及ぼしており、すぐ北にあるグループホースに至っては度々吹く南風が、スティープボールの熱気を通ることで温風へ変わり、牧場主にとっては確かに過酷ではあるが、飼育のしやすさに確かに影響を与えている。
またスティープボールは一般の侵入を禁止されている代わりに、イーストシティから派遣された掘削作業員が特殊な装備をしてやっと入れる訳だが、ここもブルーフォレストの樹皮と同じく『スティープボールの欠片』と呼ばれる隕石の一部が取られた鉱石が高値で取引されている。
スティープボールの欠片は、別称『メテオフラグメント』と呼ばれ、伝説の金属と言われるオリハルコンより価値は低いが、ダイヤモンドより硬く、マグマにも溶けないという高い耐火性質を持つ。
しかし採掘が可能なのは帝国の人間だけで、他国は輸入でしか手に入らない代物かつ、輸出量は非常に少ないことから装備に使われることはなく、主に装飾品として加工されることが多くなっている。
だが装飾品とは言え、オリハルコンやダイモンド、その他の宝石とは全く別の物質であり、そもそも宝石でも金属ですらないため、メテオフラグメント1つで加工すると、赤黒く黒ずんだ指輪やネックレスが出来てしまう。
そのため、他の宝石と合わせて加工されることが多く、"メテオフラグメントが使われている"というだけで、通常の装飾品が数十倍にも値段が飛び上がるという。
装飾品の価値を上げるためだけに使われている。
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