第81話 修学旅行3



修学旅行の3日目。



今日はいよいよ自主研修の自由行動だ。


ホテルのロビーでクラス別に並び先生から注意事項を説明される。

皆気もそぞろで小声でおしゃべりしている。



説明が終わったらまず班ごとにまとまって今日の行動内容のおさらいをした。


「京都中のお菓子食べ歩くぞー」


「「「「おー!!」」」」


なぞの掛け声で私達の自主研修が始まった。


宿泊施設からバスと電車を乗り継ぎ目的地へとおしゃべりしながら進む。


「最初のお店はー」


「「「「お団子―!!」」」」



私とすーちゃんが地図を見間違え反対方向へ歩き出したのをあーちゃんが修正してたどり着いた。

最寄駅から約10分ほど歩いた場所にそのお店はあった。


お店へ続く通りも京都ならではでタイムスリップしたみたい。

どこもかしこも和風な感じででも清潔感があり雰囲気が良い。


このお店は老舗の和菓子屋さん。

店内は白を基調とした色合いでとても明るい。


「可愛い」


私が店内をきょろきょろと見渡しているとあーちゃんからそんな声が上がった。


「どれどれ?」


「あ~可愛い!!」


その声に恵美ちゃんとすーちゃんが反応し近寄る。

2人も和菓子の可愛さにテンションが上がっている。


「こっちも可愛いよ」


控えめに雪ちゃんがそう告げる。

私がその声に引き寄せられそっちへ向かう。


商品ケースの中にあったのは数字の形をした焼き菓子だ。

パッケージもポップでカラフルな感じでとても可愛い。


「可愛い!!」


「ねー」


にこりと微笑んでくれる雪ちゃんも可愛い。

何だここ。 可愛いが渋滞しまくってるよ!!


いつもは冷静なあーちゃんも和菓子の前ではデレデレしてるし、すーちゃんはいつも通りに可愛いし、めぐちゃんもめぐちゃんでいつもよりテンション上がってて可愛い。

大事なことなのでもう一度言う、皆可愛い!!


皆の様子を見てて頬が緩みそうになるのを慌てて手を当てて阻止した。


「お土産迷っちゃうね」


「そうだね、まだまだ色々見て回るし……でも欲しい」


「分かる。 ……私これ買ってくるね、可愛すぎる……」


雪ちゃんは可愛さの魅力に負けました。

力なく商品を手に取るとレジへと向かっていった。


私はどうしようかな?

いっぱい買っちゃうと持てるには持てるだろうけど邪魔になっちゃう。

後いっぱい買ったら確実に太っちゃうよね。


うーんと悩みウロウロして皆を待たせてしまった。


私が悩んでいるうちに、あーちゃんがお店の人と話をして、学校の自由研修用に店頭の写真を撮らせてもらってもいいか確認してくれたらしい。


買い物から終わって出るとすでにお店の写真は撮影されていた。

真剣にお土産について悩んでいる私の写真も撮影されていた。

とても真顔だったよ。 お土産選ぶ女子高生の顔じゃなかったよ。


「じゃあ次のお店だね」


「ここから近いんだっけ?」


「近くのはず……あ、あれじゃない?」


道案内役になっているあーちゃんがお店を指し示す。


指の先にはバームクーヘンを食べ歩きしている人達が見えた。


「……バームクーヘンのお店なの?」


「……お茶屋さんかと思った」


「思った」


雪ちゃんが疑問を口にしめぐちゃんがお店の感想を述べる。

それに私も同意した。


だって和風な建築様式で入り口は広く自動ドアなどない。

営業終了したらシャッターを閉める感じなのかな?


商品が置かれている台も木で作られており例えて言うならでっかい柄杓の柄が無い感じ。

看板も木で作られていてお菓子が作られているようには見えないのだ。


皆で近づいて店内を見る。

……おしゃれだ。


白い壁には紅葉やバームクーヘンのような飾りが飾られていて可愛い。

商品棚には茶道の道具が置かれている。


「抹茶だね」


「うん。 抹茶だ」


どの商品も抹茶が使われている。

美味しそう。


「ここって食べ歩き用の商品あるんだよね」


私がすーちゃんに聞くと、奥の方にあるみたいだよーと返事があった。


食べ歩き用に皆で購入し、邪魔にならない様に間口の端により写真を撮る。

もちろん許可は取った。

バームクーヘンが串に刺さったのとアイスと迷って私はアイスにした。

歩いて火照った体にしみわたる美味しさだった。


あーちゃんとめぐちゃんはバームクーヘン串の方、すーちゃんと雪ちゃんは私と同じくアイスにした

ただ、アイスって食べ歩きしにくいよね。

歩きながら挑戦したんだけど口の周りにアイスが付きまくったので歩道の端によって食べてしまう事にしたよ。


もうちょっと上手く食べれるかなと思ったけど、想像していたよりも難しい。

でもこれはこれで良い思い出だね。


食べ終わるとゴミ箱の中にゴミを入れて次の店へ向かった。

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