第13話 配信



なんだろう?


興味を惹かれてワードをタップする。


すると『ダンジョン』 について色々と書かれているようだ。

発端となる動画があり、それを再生してみる。 どうやら海外の物らしい。


その動画は海外の動画配信者が撮影したもののようで英語で説明が書かれている。

コメントも最初の方は英語ばかりだ。


……なんて書いてあるか読めないや。


英語も聞き取れないまま動画を見る。

動画の始まりは例のモニュメント、両開きの門の前らしい。

一人ではなく2人が門の前に立っている姿が映っている。


……海外にも出現したんだ。

外国の人が門の前で何かを言っている。

親指で門の方を指す。

悪ふざけをしているような感じで、門を叩いたり蹴るようなそぶりを見せ始めた。


一人が蹴っているのをもう一人が笑ってみている。

どけ、次は俺がやる、みたいな感じで除けさせると、自信満々に俺が今からこいつを殴ってやる。

みたいな感じのジェスチャーをし、門を殴った。


拳が門に触れる。

すると固く閉ざされていた門が発光しながらゆっくり開き始めた。


2人の動きが止まる。

わお、嘘だろ……みたいな感じの表情だ。 2人にとっても想定外みたい。


私は食い入るように画面を見つめる。

中が見れる。 どうなってるの? 期待から気持ちが高揚する。


門が開き切る。 と同時にチャンネル登録よろしくと動画が終わってしまった。


「にゃぁぁぁぁぁああああああ!!!!!! なんだよお!!!! もう!!!!」


良いところで動画が終わった。

元のチャンネルをたどるとえらいスピードで登録者が増えて行っている。

つられた人めっちゃ居た。 私もつられて見に来た口だけどさ。


そして最悪なことに続き予定の最新動画がアップされていない。

どうやらさっきの動画が最新だったみたい。


……続き!!!! 続き早く!!!!


もどかしさを覚え他には動画が無いかSNSで探した。

まとめられるわけだよね!! 皆引っかかったんだね!! このもどかしさを、同士を増やしたいんだね、このやろー!!


ソファーの上でじたばたもがく。

……もがいたところで続きは出ない。

私の体力が減るだけだ。

パタリと、もがくのをやめた。



日本のSNSではモニュメントへの突撃が増えたみたい。

検証動画が増えた。

中には警察官に止められてる動画もある。


でも門が開く動画は無かった。


はぁ、とため息を吐き、モニュメント、門、開いた、掲示板とワードを入力し出てきた掲示板を覗いた。


……凄い勢いでコメントが書きこまれてる。

レス数が凄い。

最新に更新した傍からすぐに、新しいコメントがありますと表示される。


……どこから読んでいけばいいんだ? 

10分ほど真剣に読んでみたが流れが速すぎて断念した。


まとめサイト、我にまとめサイトを教えておくれ……。


ネットでさっきの検索ワードとまとめサイトと新たなワードを追加して検索した。


「いっぱいあるなぁ」


少し検索しただけでずらっとまとめサイトが並んだ。


その中に動画まとめがあったのでクリックした。

そこは凸する人たちをまとめたサイトみたいだ。 日時が記載されアカウントもまとめてある。


時計を見る。


……今凸している人もいるみたい。


その人の配信アカウントをクリックしてみた。


海外の配信者の影響もあってか視聴者が凄い勢いで増えて行っている。


この配信者は4人組みたいだ。 1人が撮影、3人が今画面に映っている。


『はい、と言う事で裏山に出来たモニュメントに来てみました』


『ここはまだネットで覆われてないね』


『今しかない。 皆さんも今しかチャンス無いですよ!! 見てますかー』


『にしてもモニュメントって大きいな。 俺の何倍よ』


『お前の身長が分からんわ』


『知らない?! お前俺の身長知らないの?!』


『別に驚くことか? 知らんわそんなん』


『俺はお前のことならなんでも知ってるのに……。 身長176cm、体重68kg、足のサイズ26cmで顔の大きさが……』


ボケ倒している人がその場でしゃがみ込み、顔を伏せそんなことをボソボソと呟き始めた。


『怖い怖い怖い怖い、逆になんで知ってんの?! お前あいつのファンなの?!』


茶髪の男性が引いている。


『お前のも……知ってるぞ』


ボケ倒している男性はゆっくりと顔を上げ、真顔でそう呟いた。


顔こわっ!!


『怖いわ!! 止めろて!! 知らなくていいこと知ったわ。 どうすんのこれ、俺今後お前とやっていけるか不安だわ!!』


『勿論この動画を見ているあなたのもね!!』

『なんの恐怖動画やねん!!』


リーダーっぽい人が頭をバシッと叩いた。


その隙に茶髪の男性は両腕をさすり距離を取った。


『お前のボケ怖いわ!! 見ろ視聴者が脱兎の如く逃げ出してんじゃねーか!!』


『自分、愛情表現不器用なんです』


『知るか!! そんな怖い愛情表現捨ててしまえ!!』



なんだこれ。 漫才が始まったよ?

それにも耐えて見ているとようやくモニュメントの話題に戻った。


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