第179話 森崎智美
真琴にマジックアイテムを鑑定してもらった後、明日の探索時のパーティメンバーに組み替えて、携帯ハウスへと帰ってきた。携帯ハウスは一度収納してから、設置し直したのは言うまでもない。
僕は携帯ハウスに戻ってきた後は、風呂に入り熟睡のパジャマを着てさっさと眠りについた。星のスイッチを押すのと、安眠四点セットを装着するのは忘れずにおこなった。
翌日に起きた時の気分は最高に良かった。今までの安眠4四点セットは、ほんの少しだけ効果のあるマジックアイテムだった。でも、熟睡のパジャマは流石Bランクダンジョンの宝箱から出てきたマジックアイテムだ。布団に入った後、朝起きるまで一度も起きることがなかったよ。このパジャマが最後に残っていてラッキーだったと思う。
六時頃にキッチンに降りていくと、美紅さんが僕が起きるのを待っていたようだ。
「すまないが、一旦大阪に帰ってきても良いだろうか?」
予想していた通りの言葉を美紅さんは言ってきた。
「昨日言われるかと思ってましたよ。特級ポーションを持って帰るんですよね、勿論良いですよ。探索者省の対応が大変そうですけど、頑張ってください」
「無視をする訳にはいかないだろうが、住之江ダンジョンの探索を再開するつもりはないからな。言い分だけは聞いておこうか。君達には迷惑をかけて申し訳ない」
「迷惑だなんてとんでもないですよ。一旦ということは、また帰ってきてくれるんですか?」
「ああ、次の休みの日には戻って来る予定だ。今日探索者センターに行くから、マジックアイテムの鑑定をしてもらい、使えるようにしておこうか」
「それはありがたいですね。超加速の靴とかすぐに使いたいですよね。もしかして熟睡のパジャマも鑑定してもらった方が良いですかね」
「厳密にいえば、ダンジョン探索時に得た物だから、鑑定してもらった方が良いと思うが………」
泣く泣くパジャマも渡したよ。渡す前には美姫にクリーンのスキルを使ってもらった。朝食を食べた後すぐに美紅さんは出かけて行った。
「今日の探索は《千紫万紅》は十一階層から二十階層、《カラフルワールド》は六階層から十階層で良いかな。世那さんには《カラフルワールド》の方をお願いしたいです」
「分かったで、任せてな」
今日の探索を始める。六階層の転移の柱から十一階層に転移した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
二日間の探索では、フォーメーションを少しだけ変えた。十階層のボス部屋の四人の連携が良かったことから、詩音と綾芽のポジションを入れ替えてみたんだ。僕は相変わらずの斥候職で、トレントモドキ専用アタッカーとして探索をおこなった。二日間とも危なげなく探索を終えて、宝箱も四つ開けることができた。
次回からの探索が最初の山場である。森林型に変わり、三十階層のボス部屋を超えることができるかが問題になるが、僕は今の美姫と詩音なら大丈夫だと思っている。正輝と僕は三十階層までは、予定通りサブアタッカーとしてパーティに参加するつもりだ。
休日の今日も朝早く起きてしまった。流石に皐月達も今日は探索をしないから、誰も起きて来ない。僕はブドウをゲットする為に午前中は探索をするつもりだ。書き置きを残して携帯ハウスを出て行った。
ブドウを投げて来るトレントモドキはレアモンスターではないだろうが、出会うことが出来なかった。他の野菜や果物は大量にストック出来たから不満はないんだけどね。次の休日に楽しみを取っておこう。
携帯ハウスへと戻って来ると、周りを歩き回っている不審人物がいた。警戒度を上げて様子を伺う。
「
あれ、美紅さんが携帯ハウスから出てきて、不審人物と話しているよ。知り合いのようですね。
「美紅さん、お帰りなさい」
「麟瞳さん、ただいま。ちょっと言いにくいんだが、こちらは特級ポーションを使わせてもらった
「森崎智美です。特級ポーション、ありがとうございました」
「いえいえ、どういたしまして。というか、あの特級ポーションは美紅さんが正当な所有者ですから、お礼は美紅さんにしてください」
「君は相変わらずお人好しだな。まあそこが麟瞳さんらしくて良いところなのかな」
「別に誰にでもこんな態度ではないですよ。美紅さんや世那さんが僕達に良くしてくれるからです。失礼かもしれませんが、僕は美紅さん、世那さん、恵梨花は仲間だと思っていますから」
「そう言ってもらえると、私も嬉しいな。仲間か?良い響きだな」
「アタイも仲間に入れてもらえんか?聞くところによると、タンクの子が三人おるらしいやん」
「麟瞳さん、すまない。メンバーのことを少し話してしまった」
「すんません、アタイがしつこく聞いてしまったんや。ボス部屋では失敗してもうたけど、タンクとしての経験は豊富やし、《Black-Red ワルキューレ》の若手の指導をしとったから、教えるのも下手ではないと思う。何かお返ししたいんやけど、こんなことしか思い当たらんのや。よろしゅう頼むわ」
「智美は本当に指導が上手なんだ。腕が無くなってもBランクダンジョンで、ずっと若手の指導をしてきた。お願いできないだろうか?」
突然で驚いたが、うちのタンクは経験が少ないメンバーばかりだ。ありがたい提案なのは間違いないな。ただ一つ困ったことがあるんだよね。
「テーブルには十四人しか座れませんよ」
「それは大丈夫だ。私のアイテムボックスの中に六人用のテーブルを入れてきたよ。因みに椅子とベッドも用意してきたよ」
………流石【用意周到】です。
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