第104話 《桜花の誓い》の装備品
「麟瞳さん、二日前のダイヤモンドなんだけど、オークションに出さないかって連絡があったの」
「探索者省からの直接依頼なのにオークションに出品っておかしくないか?でも、藤尾さんも同じようなことを言ってたよな」
今日は水曜日でダンジョンの探索はお休みの日だ。朝の鍛練を終えた後にシャワーを浴びて出てきた僕に真姫が言ってきた。真姫と美姫もパン屋さんから帰ってきたところだった。
「他の三つの宝石も大きくて品質が良いから依頼達成額が凄かったけど、ダイヤモンドは桁が違うみたいなのよ。後で報告書を渡すわね」
「皐月や詩音にも聞いてから決めるけど、匿名でオークションに出品することになるのかな?美姫はオークションに出品するの賛成なんだろ?」
「そうですね、持っていてもしょうがないですからね。売るためにはオークションが良いでしょうか?確かに税金の処理も分かりやすくて良いと思います。前の特級ポーションは度肝を抜かれましたが、今回も凄いのでしょうか?出品するのなら絶対に匿名でお願いします」
「本当よね。落札価格が決まった時は興奮して麟瞳さんに電話したのよね。まさかすぐに自分が特級ポーションを必要とするとは思わなかったわ。改めて《千紫万紅》の皆には感謝ね。四人はまたもや大金が入りそうね」
「詩音と皐月もバトルスーツとヘルメットを購入するようだし、ちょうどタイミング的には良かったよ」
「これからも宝石の依頼は毎日受けた方が良いでしょうね。予定ではあと六日は十階層までを攻略する予定ですから依頼もかなりの数を達成できると思います。真姫ももう少しこちらにいたいんでしょう」
「なんとか《桜花の誓い》で十階層をクリアしたいわね。遥の槍で大分近づいたと思うわ。麟瞳さんには感謝している。私達もう少しここにいても良いかな?」
「僕は部屋を広く使わせてもらっているから別に良いけど、美姫、詩音、皐月が良いならいいと思うよ。その分スーパー銭湯に行く回数が増えて、誰かはジャンケンで負け続けそうだけどね」
その後、朝食の時に《桜花の誓い》が来週の土曜日までここに滞在して、十階層のボス部屋を突破出来るようにすることと、ダイヤモンドをオークションに出品することを決定した。皐月はまだ夢の中にいたので後で忘れずに確認をしておこう。四時からクランメンバー全員でミーティングをすることを伝えて朝食会は終わった。
四時までは自由時間だから姫路城にでも行ってみようと思う。毎日朝のランニングで見ていると、本当に美しいお城である。車は美姫が使うことになっている。何回かに分けてパン屋に注文している物を受け取りに行くからだ。どれだけ注文しているのだろうか?
僕は昼御飯は外で食べることを伝えて拠点から出かけた。目指すのは国宝であり世界遺産でもある姫路城だ。
道中のお店にも寄りちょこっと買い食いをしながら、目的のお城に着いた。いつも大天守ばかり見てランニングをしていたが、実際に入ってみると敷地が広かった。
石垣を見るだけでも時間を忘れるほど興味を引く。時代によって石垣の積み方が違うんだって、それに刻印のある石やハート型の石も見つけてスマホのカメラで撮ったよ。ハート型の石を待受にすると良いことがあるんだって。これ以上運を良くしたらどうなってしまうのだろうか?
建物も大天守だけでなく他の建物も国宝指定されているらしく見所満載、最後に大天守を回って大満足だ。お昼を食べるのを忘れていたよ。
お城を出て、周りにあるお店や商店街で買い食いをしながら帰途に着いた。本格的な食事は晩御飯まで待とう。和菓子をお土産に拠点の家に帰り着いた。もうすぐで四時になる。ギリギリセーフだ。
四時には全員が集まり、時間通りにミーティングを始めた。お土産の和菓子とお茶を用意してね。今日の朝に決めたことをもう一度確認してから、今日の本題である装備品について確認していった。
《千紫万紅》については今保管している装備品は必要ない。もしものために必要そうな物だけ取っておいた。
魔力回復の指輪を綾芽と遥に、素早さアップの靴を真姫、真琴、桃、山吹に渡した。綾芽と遥は既に装備している。メンバー全員のスピードが上がれば大きな戦力強化になるだろう。
更に桃に自動修復の盾を、山吹に挑発の盾をそれぞれ渡し使ってもらうことにした。皐月が使っているものより性能は劣るが二人で《桜花の誓い》をしっかりと護って欲しいと思う。
そして収納のリュックは桃が持つことになった。これで使えそうな物はすべて渡した。ダンジョンの探索を頑張りましょう。
明日からの探索に向けて、元気づけるために晩御飯は焼肉にした。美味しいと評判のお店を《白鷺騎士団》に聞いておいた。
車での移動なので、いつものジャンケン。往復とも負けている子が一人いたよ。誰とは言わないけどね。しっかりとスタミナをつけて帰ってきた。
お風呂には一番に入らせてくれた。皆はまだ風呂に入っているが、お先に眠りますね。お休みなさい。
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