第11話 買い物をして帰宅

 今日は弁当箱を買ってから家に帰る予定なので、ダンジョンのバス停から岡山駅行きのバスに乗る。


 岡山駅に着いた後は百均の店を見つけては弁当箱を物色し、小さすぎる物以外は全部買っていく。合計三店舗で六十程買ってしまった。


 その後も折角街へ来たのでブラブラと気になる店をチェックして歩く。本屋で今人気の連載漫画の単行本を大人買いして、一万円ほど使ってしまった。後は家族へのお土産を買って帰る。


 電車で二駅、そこから徒歩十分で無事に家に帰って来た。時刻は六時過ぎ、まだ父さんも綾芽も帰ってきていない。


「ただいま、母さん」

「お帰り。今晩御飯作ってんだけど、お弁当箱買ってきた?」

「いっぱい買ってきたよ。ここに出せば良い?」

「いっぱい出されても邪魔だから、取り敢えず六個出してもらおうかね」


 言われた通り弁当箱を収納の中から出しておく。


「へえ〜、いろいろな形の弁当箱があるんだね」


 弁当箱を洗いながら聞いてくる。


「百均にあるやつをほとんど全部買ってきたんだ。二段の物や丼用の物等たくさんあったよ。お弁当箱に入れたらすぐ貰うね。収納してたら温かいままだから」

「便利だよね。ランチジャーなんか必要ないね」


 会話をしながらでも、母親の手は止まらない。さすが主婦歴二十五年である。そんなことを話していると綾芽と父さんも帰ってきた。今日は配膳のお手伝い。メインの豚の生姜焼きは大皿に大量のキャベツの千切りの上にタレごと盛られている。副菜はキムチ、それにおみそ汁とご飯だ。当然僕は大盛りご飯、皆揃っていただきます。


 タレのかかったキャベツが美味い。マヨネーズを少し付けて食べるとそれだけでご飯が進む。豚肉も茶碗のご飯にワンクッション入れて食べる。タレを吸ったご飯が五倍は美味しくなるね。キムチで味変、みそ汁で一息入れながらあっという間にごちそうさまでした。


「父さん、今日岡山で地ビール買ってきて今冷やしているから、明日から飲んでよ」

「岡山の地ビールか?美味いんだよなあれ。麟瞳ありがとう、明日が楽しみだな。金曜日だし少し飲みすぎても大丈夫だよな」


 明日のビールの事を考えて喜んでいる。六本しか買ってないからね。母さんには缶チューハイ、綾芽にはケーキを買ってきた。


 食後は家族全員がリビングでまったり過ごす。そして一人ずつ順番に風呂に入っていく。


「お兄ちゃん、ケーキありがとう。滅茶苦茶美味しいよ」

「どういたしまして。これ昨日のコピーな渡しておくよ」

「おお〜、仕事が早いね。今見ても良い」

「ちょっとテレビ使わせてくれ。今日の反省をしておきたいんだ」


 綾芽に断ってテレビを使わせてもらう。記憶が新しい内に反省はしておきたいから、テレビに繋いでボス戦を見る。


「ええ〜、これ何匹いるの?」

「十匹だな。アーチャーが二匹でソードマンが一匹、ファイターが三匹で普通のが四匹だ」

「大変だね。一人で倒したんだよね。おお〜、危ない」


 アーチャー二匹で攻めて来ると一方の射線にゴブリンを入れて撃ちにくくしても、もう一方からは絶好の的になっている。とにかくターゲットにされないように動き回っているが、どうしても攻撃するときに隙ができている。アーチャーが一匹と二匹で難易度がこうも変わって来るものなんだな。取り敢えず明日から投擲の練習を始めよう。


「うわ〜、また銅色の宝箱が出たよ」


 色々と考えているうちに次へと進んでいた。


「またポーションが五本も入っているし、弓と矢筒も良いものなんでしょ?」

「ポーションは綾芽に昨日あげたものと同じ中級ポーションだ。因みに買取り価格は一本七千円な」

「売ってる値段一万円だよね。思ってたのより買取り価格高いんだね」

「探索者のために利益を抑えているんじゃあないのかな。低級ポーションも買取り価格が二千円で売値が三千円だろ」

「高級ポーションなんて見たことないけどあるんだよね」

「これが高級ポーションだ。一本五万円で売っている。大きな傷の直りも良いし体力も大幅に回復してくれる」


 いきなり値段が上がるんだよな。買取り価格は四万円である。持っている高級ポーションはドロップ品であり、一本だけ貰ってきた。当然正輝から。更に特級ポーションがあるが、これは部位欠損を直すことが出来るもので、過去に一度オークションに出品されて一億円の値段で取引された。


「弓は命中率アップの効果のあるもので、買取り価格が五十万円。矢筒は無限にコピーされた矢が出てくるらしい。これが買取り価格一千万円だったよ」

「一千万円って、お兄ちゃんかなりおかしいよね。じゃあ今は大金持ちだね」

「いやいや、売ってないからね。未だに金欠状態だよ」


 収納から弓と矢筒を出してみる。


「でもお兄ちゃんは弓使わないでしょ。持っててもしょうがないんじゃない」

「将来のパーティメンバーのために取っておこうかと思ってね。なかなか良いマジックアイテムはドロップしないからな」

「お兄ちゃんの口からそう言われても説得力ないよ。昨日からどれだけマジックアイテムをドロップさせているのよ」


 文句を言われてもこればかりはしょうがない。綾芽はほっといてお風呂をいただきましょう。寝る前に今日買ってきた漫画も一冊読むとしよう。







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