(二)-2

 二人はそう話しながら歩いていたが、急に立ち止まった。

 それはティムたちの前にアジア系の男性が五人、扇状に展開しながら二人の前に立ちはだかったからだ。

「どうもどうも、こんにちは」

 ティムはひどい英語なまりの日本語で彼らに敵意のないことを示した。

 五人はそれぞれ中国語で何かわめいていた。

 その中のリーダーと思しき男が「お前らみたいな白人がどうしてここにいる」と日本語で言った。

「友人に会いに来ました」

 ティムは鼻の下のヒゲなどを動かして笑顔を作りながらそう答えた。

「こっちへ来い」

 相手のリーダーはそう言って指で手招きすると、二人は近くの狭い路地に連れ込まれた。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る