すみません。その魔王は親友なので、勝手に起こさないでもらえます?
行枝ローザ
第1話 魔王、封印される。 : 終わりの始まり。的な。
「……もう、疲れたよ……パティ……」
「いや、止めなさい」
私は思わず苦笑した。
目の前の男に「疲れた」などと言葉は似合わない。
せいぜい「眠くなったから、寝る」という意味だろう。
「いやぁ……さすがに今回は疲れた。パトリック…腕を上げたな」
「う~ん……どうやらこの職業が一番性に合うらしい。しばらくはこれを極めようかと思う」
「そうか……じゃあ、俺はしばらく休む。適当なところで起こしてほしいが……」
「そう…じゃあ、せめて500年は寝かせてあげるよ。デカい花火を5つ上げれば、そっちの一族は皆わかってくれるでしょう?」
「フフフ……初めの100年は疑って大人しくしててくれるだろうから、まあ200年か250年後ぐらいからいろいろヤラかしてくれるさ」
「ふぅん……まあ、君たちは実力主義だからね。あっ…ちょっと!まだ話して……」
寝つきが良すぎる。
その男──魔族の長である、いわゆる『魔王』は、私が語るのを無視してさっさと寝てしまった。
「……まったく。まだ私が次の『名前』を決めてもいないのに。勝手に封印しますよ?!私より力のある者が現れても怒るのは無しですよ?!」
多少腹が立ちながらも、それがこの男と気軽な関係を続けてこられた理由だと苦笑し、私は魔力を込めて男の周りに石室の寝室を作り上げた。
500年後という大雑把な起床時間を設定してその
これで私が探しに来た時に呪符が反応し、大木に育った後でも間違いなく見つけられるはずだ。
「さぁて……私も行きますか。また、次の生で……友よ」
そう言って私は『第一の賢者・パトリック』としてこの国の、この時代の王へ『魔王封印』の報告をするため、旅立つことにした。
まずは森の外に作った小屋で寝ている『勇者仲間』に『魔王を倒した』という寝物語を植えつけ、私が最後の力を振り絞って封印をしたためにこの『旅人の小屋』まで担ぎ込み、そこでしばらく様子を見ていたことにして──いろいろ改竄が面倒だと思いつつ、私は必要なことを終えてから眠りについた。
後は勝手に術の解けた者が朝に目を覚まし、『倒れて寝込んでしまった
それから──
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