少女の目覚め

 環は、暖炉の火を見て、少し眩しそうに目を細めた。


「痛むところはありませんか? 骨折などはないようですが、あちこちに切り傷ができています」


 安尾は、慎重にゆっくりと説明する。

 環はぼんやりとそれを眺めていた。

 安尾は、無事に目を覚ました少女を見て安堵していた。


 と、少女が突如怪訝な表情を浮かべた。

 彼女の目の前には香苗がいる。


「どうかしましたか?」


 安尾の言葉が聞こえていないのか、環は壁に手をつくと、ゆっくりと立ち上がった。

 かわやだろうかと思った。


 安尾は、よろけそうな少女に手を貸そうと膝立ちになる。

 少女は香苗をじっと見ていた。


 香苗も少女を見ていた。

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