　さっきのドラゴンの絵にはなにもタグをつけなかったので、いいねを押されまくるとかそういうことはなく、黒崎さんからの１いいねとコメントだけで済んだ。やはり知らない人にいいねされまくるのは気持ち悪い。フォロワー１のインスタだと特に。

　魂の故郷ツイッターを開く。いつも通り、すごくプラモデルを組むのが上手い人とか、すごく絵が上手いひとの絵とかが流れていく。最近フォロワーの社会人男性がドールさんに手を出して、ドールさんの画像も流れてくるようになった。いいねを押す。

　古い言葉でいう「ふぁぼ」だ。さすがに「ふぁぼ」の時代はじかには知らないのだが……。

　このツイッタランドに、「インスタで絵を求めてくれる女の子いるんすよ～ｗ」と書き込んでもだれも本当だと思うまい。そういうところがツイッターの好きなところだ。

　スマホをいじっているとドアがノックされたのでスマホを置く。「どうぞー」と言うと父氏が入ってきた。

「冬休みの宿題、どんな感じだ？」

「うん、正月前には終わると思う」

「なにか悩みはないか？」

「……何しにきたの？」

　そう訊ねると父氏は、「いやあ、お母さんから春臣がずっとスマホいじってるって聞いて、なにか悩んでいるのかと思って」と答えた。

「なに、スマホ没収？」

「没収はしないよ、春臣だって部活のひとと連絡とれなくなったら困るだろ。使い方に気をつけなさいという話だ。ＳＮＳに不用意に私生活をさらさないように」

　はーいと応えると父氏は部屋を出ていった。インスタにドラゴンの絵をＵＰするのも私生活だろうか？

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