第2話 私は彼氏に振られ、親友は……
私はつい最近恋人と別れた。
正直に言えば振られたのだ。
あいつが二股だったとはね。
まあ見抜けない自分が間抜けな訳で、愚痴ることさえ憚れる。
二十歳やそこらのお嬢ちゃんじゃあるまいし。情けないを通り越し男を見る目のなさに笑える。
ああ、また留美香に馬鹿にされるわ。
留美香とは、中高大とずっと一緒で大親友と言っても過言ではない奴。お互いにほぼ知らない事が無いくらい何でも話す。
仕事 家族 恋人etc.etc。
然しこれは出来れば知られたくない。何故ならつき合いは始めた頃に、留美香には言い当てられていたんだ。
「あんな男止めときな。絶対浮気するから。三十五過ぎて誰にでも優しい男は危ないよ。身を固めたい奴はしっかり身ぎれいにするもんなの」
然し! 恋愛においてそんな助言をいちいち聞いていたら、花なんか咲くわけないでしょうが。
それにね、くどいようだけど、人に言われてやめられるようなら最初からつき合わん。まあ少し、ほんの少し焦り? みたいなものはあった……。
うっ三十路まで後一年となれば、出来れば大台に乗る前に、何とか決着つけようとするのがか弱き女心だろうが。
振られてから二週間が経過。
傷はかなり癒え痂に為ってきた。おっ、珍しく留美香からラインが来た。
「暫くっ、元気だったか?」
「珍しいなぁ……どうした?」
留美香は同性の後輩と今絶賛幸せいっぱいのはずだ。
「別に、でっ洋子は? その後どうなん」
「まぁ、それなりよぉ」
「今晩会える?」
あらら? 何かあったな。
留美香が今日の今日で会いたいなんて普通は言わない。
しっかり予定を合わせて、ゆったりと会いたい派の奴だ。
「いいよぉ、八時頃家おいで」
「了解! なんか買って行く」
「OK」
六時上がりで七時には部屋に帰宅した私だったが、ドアの前にはもう留美香が立っていた。
「おぉ早いじゃん 待った?」
なんか暗いねぇ。気のせいじゃないぞ。
「今来たばっかり」
いやいや嘘だわ。スーパーの袋が倒れているし、それに気付かないくらいぼっ~としているんだから。早々に鍵を開け留美香に入るよう促した。
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