第2話
メンバー全員に一瞬ぴんと張り詰めた空気が漂う。
「ユヅ……あれを」
「はい」
キーボード担当のユヅが控室に設置された電子ピアノの前に座ると、カタカタと鍵盤を叩きはじめる。
ピアノの上方に空間ディスプレイが表示されると、無数の文字列が流れはじめ、赤く点滅するキーワードが見つかった。
「私達のファンクラブ会員に闇商人がいるんだけど、最近武器の調達が活発に行われていることを察知しました。関連するダークネットワークに侵入したんだけど、そこで女王誘拐の計画が進んでいる情報を発見しました。コードネームは
「……ネオ?」
リコがぴくりと眉をひそめた。
「この国には第三次大戦敗戦後の戦争難民を受け入れてもらった恩義がある。そんなことは……絶対に許さない」
ベース担当のハナビはミニスカートの
「……彼らの狙いは何かしら? 身代金?」
ギター担当のトコは冷静な表情で、ペグの調整を行いながら呟いた。
「目的はわからない……。わかっていることはただひとつ、その計画実行が明日であるということ」
椅子に座って話を聞いていたドラム担当のポポがすくっと立ち上がる。
「話はわかったわ、今夜中に叩き潰せばよいということね?」
ポポは
「あなた達の大切なライブを台無しにしたくないわよね。本来の仕事を遂行するわよ」
「了解しました、モカ大尉。ユヅ……テロリストの居場所はわかる?」リコが問いかける。
ユヅが『月光』を奏でると、ディスプレイに地図が表示された。
「テロリストの一人の携帯端末の位置は突き止めてある。ライブ会場近くにあるベイエリアの旧倉庫」
「あまり
メンバー全員が歩み寄ると、お互いの手を重ねあった。
「ウィアー?」リコが呟く。
「フェアリモンスターズ、ヒアウィゴー!」
ステージ衣装がばさりと宙に舞うと、強化プロテクトスーツを身に纏った五人の戦士が姿を現した。
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