冬の子

冲田

1

 きたのまちでは、あきわりはじめていました。


 ついさいきん、紅葉こうようしたばかりだとおもった木々からも、だんだんとちています。



「秋の子さん、秋の子さん、仕事しごとはどれくらいすすんでいるんだい?」


 ふゆの子が秋の子にいにってたずねました。


「もうこの列島れっとうは、ほとんど秋にしてしまったよ。あとはみなみをのこしているだけさ」


 秋の子は葉にせっせと赤いいろりながらこたえました。


本当ほんとうかい? ならぼくは、そろそろ北のほうから仕事をはじめても大丈夫だいじょうぶそうだね。せっかちなっぱはもう落ちはじめているみたいだけど」


「あ〜あ、ぼくががんばって赤くした葉っぱも、もうとされてしまうのか。なんだかかなしいなぁ」


「じゃあ、僕は北に行ってくるよ。」


 秋の子に見送みおくられながら、冬の子は北にかいました。

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