第5章

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 それから、ななのちゃんは、しばらくは学校帰りに僕のマンションに来ていて、晩ご飯の用意をしていてくれた。


「ななの もう ご飯の用意はいいよ 来るのはいいんだけど、ウチに帰っても、ご飯の用意してるんだろー? 来てもいいんだけど、勉強に時間あてろよ」


「えぇーっ やだぁー 私 それっくらい出来る それに、今は通学の途中にあるもん 寄り道じゃぁないよー シュウのために なんかしたいの」


「それは ありがたいんだけど ななのが勉強に打ち込んでくれたほうが嬉しい 中学になると いっぱい新しいことやんなきゃなんないだろー だから」


「・・・来ちゃぁ だめなの?」


「うーん だって もう 気にしないで 家に帰れるんだろーぅ 言っちゃいけないことだと思うけど・・だったら、来る理由ないだろー」


「・・・来る 理由あるよー ななは シュウと同じ空気吸いたいし、シュウの匂いを感じていたい だって、帰ってもお母さん仕事に出てるし、ひとりぼっちなんだよ」


「・・・ななの・・・でも ここでは、勉強の時間にあてろ」


「わかった じゃぁ ご飯作るのは 土曜と日曜だけにする だったらいいでしょー? じゃぁないと シュウ 私の愛情こもったの食べれなくなるんだよ!」


「・・・ななの 又 からかい始めてるだろー?」


「そんなことないよ 私 ちゃんと 思ってるから それにね 自分のこと ななって やめた 子供っぽいし もう 中学生なんだから」


「そうか 無理すんなよ これから部活なんかもあるんだろー?」


「うん だけど クラブって お金かかるじゃん 私 なんにも入らないつもり 私の部活はシュウとの時間」


「あのさー あそこのセンターで地元の少年サッカーがあるんだよ 土曜日に集まってる ななの 入らないか 女の子だけのグループもあるんだよ 小学生と中学生」


「あぁー ダメ 私 運動なんて出来ない それに サッカー? そんなのやったことないから」


「だけど みんな 何でも初めてってあるじゃぁないか ちょうど 今 中学から始めるって子も居るみたいだよ やってみようよ ななの 走るのは速そうだよ」


「だってさー 怪我 したくないもん ボール追っかけてって 犬みたい」


「一度 やってみればー 補助金もあるから、そんなにお金負担ないよ それに、そんなの僕がななのの為だったら出すよ 僕は、ななのがグラウンド走り回ってるの見てみたい ダメかい?」


「・・・ほんと? 見たい?」


「ああ きっと 君は 全日本になる素質ある」


「シュウ アホちゃう? でも 考えとく ななが犬みたいにボールを追っかけてるとこシュウが見たいんならネ でも 私 他人と話すのとか集まりって苦手なんやなー」

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