3-6

 駅に着いて、実家にはぶらぶらと歩いて帰った。家に入るとかがみさんがお正月の用意で手伝いに来ていて


「秀君 いらっしゃい 小さな彼女は置いてきたの?」


「あのなー 彼女じゃぁないよー」


「ふーん ほったらかしにすると誰かに奪われちゃうから」


「なんだよー その言い方 けしかけるようなことばっかー」


「ふふっ ねぇ 私 何か変わったと思わない?」


「うっ オバン臭くなった?」


「秀君のお餅には唐辛子いれようか? うふっ あのね お腹 ちょっと膨らんでるでしょ」


「あっ あー 出来たのかーぁ へぇー かがみにもなぁー 一応 女だったんだなー」


「秀 かがみさんは あんたのお義姉さんなんだからね 気をつけなさい」と、母が・・


「そうよー 秀君のお姉様よ おめでとうの一言ぐらい」


「そーだな おめでとう あっ それと ななのちゃんのことありがとう 喜んでいたよ 一緒に寝てくれたって」


「そう 可愛い子よねぇー 又 連れておいでよー ねぇ お義母さん?」


「そーだね いい子よねー だけど まだ 小学生なんだよねー」と、母も意味ありげにため息をついていた。と、玄関に飾っている ななのの絵を見ていた。


 その晩は兄貴夫婦も来て、一緒に晩ご飯を食べていた。近くのスーパーで寿司盛りを買ってきたみたいだった。


「兄貴 ベィビー おめでとう」


「あぁ 6月くらいカナ 男の子らしい」


「おぉー 跡継ぎかぁー お父さん 良かったなぁー」


「あぁ でもな 椎茸だけだと先が見えないからな 今 行者茸とか自然薯もやっとる なんとか ものになるといいけどー」


「そうかー 大変なんだなぁー 兄貴も」


「そうだよ なんとか 続けていかないとなー」


「でも かがみさんが来てくれて、助かってんだよ よく気がついて、働いてくれるし ほんと いいお嫁さんよ」と、ようやく片付けの終わった母が言ってきた。


「お義母さん そんなー 私こそ よくしていただいて 幸せです」


 僕は、高校時代のがさつな かがみと違って、あぜんとしていた。女って環境によってこんなに変わるんかと思っていた。


 元旦になって、お雑煮を食べて、椎茸を焼いて食べていると、兄貴夫婦が挨拶にやってきた。僕は、父ともう酒を酌み交わして、かなり飲んでいたのだが、かがりさんが横に来て


「秀君 ななのちゃんのこと あの子 真面目に秀君のこと好きみたいだから いい加減につきあっちゃぁだめよ」


「かがみさん 酔っているんかよー いきなり なんだよー」


「バカ 私 赤ちゃん居るのよ お酒 飲むわけないじゃぁない 君のことを思ってー」


「そうか わかってるよ だけど 難しいことがいろいろとあるんだよー ヘタなことは出来ないしー」


「まぁ 迷ったことあったら 相談に乗るよ お姉さんなんだから」


 僕は、その後、酔いがまわってきて、なんなんだあいつは・・・確か、高校の時は僕のほうが勉強は出来たはずだが、まるで、上から目線じゃぁないかと思いながら、寝てしまったようだった。

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