第3章 龍平くん専属SPになる!?

第21握利 りゅうくんとつばさおねえちゃんの大両親。

「おー、今日も繁盛しているなー」



 とある日の昼下がり、『にぎめし』の前に仁王立ちする傷だらけのスキンヘッドにサングラス、黒スーツの大男が一人。


「ねぇ、あれ、ちょっと」


「“ヤ”のつく人じゃない? 警察を呼んだ方がよくない?」


 昼の買い物を終えた奥様方は、食品などが入ったエコバッグを腕にかけながら、ひそひそと話し、ちらちらと男を見つつ、通り過ぎていく。

 だが、男は気にも止めず。


「どれ、久々に顔を出してやるかー!」


 『握利飯』の戸を勢いよく開けた。


「いらっしゃい! お」


 『握利飯』店主、一門いちもん椿つばは、男を見ると笑顔を向け。


「げっ……」


 いつものカウンター奥の席で、おにぎりを食べていた立宮たてみやりゅうべえは、顔を店の奥に背けた。


「お? おおー?」


 だが、男はその一瞬を見逃さなかった。


「何だー!? 龍平じゃねぇかー!」


 男は龍平にずかずかと近づくと、ヘッドロックした。


いてぇ! 園長っ離せ!」


「はははっ、園長先生、元気そうで何よりです」


「おう! 椿佐も相変わらず美人な上に、俺より男前になったなー!」


「ははっ、それはどうも」


「ところで、お前ら」


 園長と呼ばれた、『羅武らぶえん』園長、熊谷くまたにかつは、椿佐と龍平を交互に見ると。


「いつの間にデキてたんだ?」


 爆弾発言をした。


「デキてねーわ!」


 龍平は真っ赤になりながら否定し、


「はははっ、残念ながらデキてないんだなー」


 椿佐は動揺することなく、いつものように笑った。


「何だー? 龍平、まだ“つばさおねえちゃん”に告ってねぇのかー。意気地いくじなしだなー」


「——その話はすんじゃねー!」


「早くしないとー、俺がもらっちまうぞー?」


「ははっ、それはダメでしょう、園長先生。奥さんに叱られますよ」


「はい、すいません。母ちゃん怖いです」


 勝治は一気にしゅんっと縮こまり、龍平から手を離した。


「で、龍平、お前は何を食ってんだ?」


「……照り焼きつくね」


「じゃあ俺もそれをもらおうか」


 そう言うと、勝治は龍平の隣にどかっと座った。


「ところで、龍平。お前この後、時間あるか?」


「あ? 今日は休みだから、時間あるけど」


 龍平は座り直し、醤油の甘タレつくねと、かいわれ大根が天辺てっぺんに載った、二つ目のおにぎりにかぶりついた。


「丁度よかった。お前もこのまま残れ」


「何でだよ」


「“つばさおねえちゃん”に関わる、重要な話だ。椿佐はもう、俺が来た理由、わかっているよな」


「……ああ」


 そう言って椿佐は笑ったが、声は沈んでいた。




−−−−−−


 あとがき。


 園長、ついに登場です!(笑)


 そして、椿佐の過去が少しわかります。ちょいとシリアスになります。


 園長登場待ってましたー、という方、そうでない方も、良ければ応援のフォローなどポチしてくださると、励みになりますー。


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