第16握利 龍平くん家の大親方。

「……これ、詫び」


 翌日の昼時、金髪坊主の立宮たてみやりゅうべえは、紙袋を手に『にぎめし』にやって来た。


「詫び?」


「ウチの新人広報が、やらかしただろうが」


「新人広報? ……あー! しおか!」


「そう、塩田。今日の朝、親……、社長に用があったから、社長室にいたら。塩田がノックもせずやってきて。『すいません! 自分のアカウントと間違えて、会社のアカウントでやり取りしてしまいましたー!』って、土下座したんだよ」


「はははっ、塩田らしいねぇ」


 『握利飯』の店主、一門いちもん椿つばは手を洗い、手ぬぐいで手を拭きながら笑った。


「二時過ぎにメッセージって、ここじゃなきゃ営業妨害どころか、諸々の妨害で訴えられても仕方ねぇだろ」


「まぁ、確かにな。あたしはここをやってなくても、訴えないけどさ」


「とにかく、社長からの詫びだ。受け取れ」


「そういうことなら、ありがたく受け取るよ。って——」


 椿佐は紙袋を受け取り。


「これ! 『大島屋』の最高級海苔じゃないか! しかも! ご飯に馴染むやつ! こんないいもんをもらっちまってもいいのかい?」


「社長がやるっつってんだ。もらっていいんじゃね?」


「そうかい、本当にありがとな。『が、感謝していたって伝えておくれよ」


「ああ。あと、詫び第二弾」


「まだあるのかい」


「社長に昼飯を頼まれたんだ。あー……、でも、しまった。何がいいか聞いておくの忘れた。……面倒くせーなー」


 龍平は頭をポリポリと掻くと、ズボンのポケットからスマートフォンを取り出した。そして、タップして電話をかけた。


「……あ、オレです、りゅ……立宮です。はい、海苔は受け取ってもらえました。それで、昼飯なんですが、具って。……はい、はい、え、そんだけっすか? ……わかりました」


 龍平はタップして電話を切った。


「親父さん、何がいいって?」


「……肉マヨ系」


「はははっ! 親子だねぇ! 立宮はどうする? ここで食べて行くかい?」


「いや、なんか。久しぶりにオレと食いてぇとか言ってるから、オレも持ち帰りで」


「あいよっ、具は何にする?」


「……肉マヨ系」


「はははっ! 肉マヨ系二人前なっ、毎度っ」



−−−−−−


 あとがき。


 肉マヨ系、大好き社長(笑)

 いつか書けたらいいなと、思います。


 あと、余談ですが。

 二人のイメージイラスト、とあるサイトで作ってみました。よければ(近況ノートに飛びます)↓

https://kakuyomu.jp/users/michishirube/news/16817330654046599054


 それと、KACに便乗したスピンオフを、書いてみました。よければ暇つぶしにでも↓

 スピンオフ①

https://kakuyomu.jp/works/16817330654040426100


 スピンオフ②

https://kakuyomu.jp/works/16817330654076510235


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