22話  ばーむくーへん夫人

 昔、Mが読んだマンガ。

 理知的やさしい男子と強引オレ様男子がいたら、ヒロイン、どっちを選ぶの? みたいなの多かった。

(どんだけ昔やねんのツッコミは、各自でお願いする)


 物語のはじまりで、ヒロインが顔を合わせればケンカになる、不器用オレ様男子。途中から、お金持ちで生まれもよい理想の王子さま男子が現れる。

 明治時代(おそらく)に女子が医者になりたい(おそらく)と上京(おそらく)するお話。(おそらく)

 ――ぐらいの記憶で検索したら、その作品にたどり着いた。すっごいな。今。



「でも、オレ様男子とくっつくんじゃないかな。反発はお約束だし」と思っていたら、最終回、ヒロイン、理想の王子さまとくっついたー。


 ――読者アンケートで、理想の王子さまを推す人が多かったのかな。

 絶対、ケンカしながらも、自分を出せる相手を選ぶと思ったのに。Mは自分の読みの浅さに愕然とした。


 『アルプスの少女 ハイジ』のハイジが、ペーターと結婚している続編にも、打ちのめされたものだ。


 都会に出て洗練された女性にもなり、玉の輿にものれそうなハイジが、田舎の幼なじみのペーターと結婚だと? 

 「ハイジって野心のない女子なんだな」と、落胆した。


 それから、幾星霜たった。

「ペーター、いい男だったんだろう。あのハイジが見誤ることはなかろうて」とか思えてきた。

 少なくとも、ずっとスキンシップとってくれそう。


 どのキャラを見ても、「このヒト、ずっとスキンシップとれるかな」という目線で見てしまう重ねた年輪のなせる心持ち。ばーむくーへん夫人マダムBと呼んで。

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