パンツ予知覚醒!!

 クラスメートの早乙女さんに、パンツ予知がバレてしまった…。


けど彼女は約束通り、秘密にしてくれたようだ。

バレた当日、他のクラスメートの行動に変化がなかったからな。


今後もこんな風に、バレることを意識しないといけないのか?

俺は悪いことをしてないのに…。



 翌日。登校すると、寿さん・両角もろずみさんは教室にいない。…早乙女さんはいるな。


俺に気付いた彼女が近付いてきた…。


「速見君。昨日の結果を信じて、通行人に会わないように散歩の時間を変えてみたの。…数人とすれ違ったけど問題なく散歩できたわ。予知は本当だったの?」


教室にクラスメートがいるので、声のトーンを落とす早乙女さん。


確か犬のリードを持った早乙女さんが、通行人らしき人に頭を下げていた予知だ。

その通行人の顔は、知らない人なので見えなかったが。


「俺の予知は俺自身もよくわかっていないから、何とも言えない…」


そもそも、頭を下げた理由に犬が関係するかすらわからんからな。


言葉が聞こえないから、ヴィジョンに出てきた人の態度や表情で推測するしかない。もっと正確な予知をしたいものだ。


「なるほど…。じゃあ何で、明日香さんと恵美さんは君の予知に頼るの? 私と同じように、曖昧なことしか言ってないんでしょ?」


早乙女さん、思ったより毒舌だな…。


「2人にとって、パンツを見せることは大した事じゃないんだろう。それに、本当に俺の予知を信じてるかは不明だ。予知の時以外、一緒にいないからな」


「パンツを見せることが大した事じゃないって…。君に言っても無駄か」


「すまんが、もう良いか。今日も2人に予知しないと…」

昨日は両角さんにできなかったが…。


「またでやるの?」


女子更衣室のことだ。


「ああ。2人の希望だからな」


「そっか…。精々バレないようにやりなよ」


バレないというのは、女子生徒はもちろん教師も含むだろう。


「忠告ありがとう」

俺は急ぎ足で、女子更衣室に向かう。



 「はやみん、遅いよ!」

女子更衣室前で待っている両角さんに怒られた。


「速見君。何かあった?」

寿さんが訊いてきた。


「昨日の予知のことで、早乙女さんに話しかけられて…」

隠すことではないので、正直に伝える。


「それは良いから、早くしようよ!」

そう言って、先に女子更衣室に入る両角さん。


俺と寿さんも続けて入る。



 女子更衣室に入って早々、両角さんが俺に訊いてきた。


「はやみんって、2人同時にパンツ見たことある?」


「ある訳ないだろ」

今の状況がおかしいだけで、女子のパンツを見る機会なんて普通はない。


ましてや2人同時なんて、あり得ないぞ…。


「恵美、何でそんな事訊くのよ?」

寿さんも気になったようだ。


「あたしと明日香、2人同時に見せたらどっちの予知が見られるんだろう? って思っただけ。特に深い意味はないって」


「そんな事、考えた事なかったよ…」

本来は俺が思い付くべきことなんだろうな。


「という訳で、はやみんやってみてよ! 明日香も良いでしょ?」


「いいわよ」


寿さんと両角さんは、2人同時にスカートを上げ始める…。



 2人のパンツをほぼ同時に見た時、ヴィジョンが浮かぶ。


ここは寿さんの部屋だな。時間は不明だが、パジャマを着ているのを見ると夜だ。


スマホを耳に当てているな。電話中だろうか?


(明日香。明日は何色にする?)


スマホから両角さんの声がする。

どういう事だ? 俺の予知で、声が聞こえたことはない…。


(恵美。毎日こんなことを確認しなくて良いでしょ。速見君覚えてないって)


(そんな訳ないよ。男子が女子のパンツを見るんだから、絶対覚えてる!)


…ここでヴィジョンが消える。

いつもと違う予知をしたせいか、疲れたな…。



 「どうだった?」

両角さんが俺に訊いてくる。


さっきの会話はあくまで予知だ。話の内容を聞いても意味がない。


訊くべきなのは…、だ。


「2人は今まで、下着の色について電話で話し合ったことあるか?」


「…え?」

寿さんが声を上げた後、両角さんを見る。


「あたし、そんな事言ってないよ。これって…」


「ああ。予知で見えたんだ。電話の内容を察するに、毎日下着の色について話し合っていたみたいだな」


声が聞こえるのは便利だ。前の予知より、正確性が増している。


「速見君。君の予知では、人の声は聞こえないはずじゃ?」


過去に説明したことはあるが、寿さん覚えてくれてたのか。


「そのはずだ。だが、2人のパンツを同時に見たら聞こえるようになった」


「パンツ予知が覚醒したの? 凄いじゃん、はやみん」


両角さんは褒めてくれるが、内容が内容だけに喜んでいいのか…。



 「…で、どうなの?」

寿さんが俺に確認してくる。


「何がだ?」


「私達の電話を聴いたなら、わかるでしょ? 覚えてるかって事」


答えづらいが、黙っている訳にはいかないな。


「大体は覚えてるぞ。ジロジロ見るのは失礼だから、最低限にしてるが」


女子のパンツは男のとは全然違うな。何というか、質感やこだわりが凄い。


「やっぱりそうだよね。明日香、今日は下着を買いに行くよ!」


両角さんが寿さんを誘っている。


「わかったわ…」


2人がテンションを上げているが、男の俺は何も言わないほうが良いな…。



 時計を確認したら、もうすぐ朝のSHRショートホームルームが始まりそうだ。


「2人とも、時間がないぞ。急いで教室に戻ろう!」


俺は声をかけた後、先に戻ることにした。

3人同時に戻ると怪しまれるからだ。


2人のパンツを同時に見たら、パンツ予知が覚醒した…。

さらに覚醒することはあるのか?


そう思いながら、俺は教室に向かう。

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