あたたかいね
ウルは続けます。
「僕は、ハカセがちゃんとやれてるかどうかも確かめに来たんだ。でも、今のミコナを見てると、大丈夫だって思った。安心したよ」
そんなウルにミコナは、
「うん。パパは私をとっても大事にしてくれるよ。だから私もパパを大事にしたいんだ」
と返します。
すると、ガーが、ミコナの胸に顔をうずめて、甘えるような仕草を。
「ガーはとても臆病だからね。相手の嘘を見抜くんだ。そのガーが甘えられるってことは、ミコナの言葉に嘘がないってことだよ」
ウルの言葉に、ミコナはさらにガーを優しく抱きしめます。なんだかとても胸があたたかい感じ。
『ママ……』
不意に蘇る記憶。今よりもっと小さかった頃にママにこうして抱きしめてもらった時の。
だから、思わず、ウルのことも手にして、同じように抱きしめてしまうのです。
「あたたかいね、ミコナ……」
ぬくもりを確かめるようにウルも身を寄せてきます。
そんな様子をに気付いて、
「あ! なんやウル達だけで! ずるいやおまへんか!」
ティーさんもポーンと体を弾ませて飛び込んで。
「おっととと」
ちょっと焦ったけど、ミコナはちゃんと抱き止めてくれます。
「ミコナはん、ええ匂いしまんなぁ……」
ウルやガーと一緒にミコナの胸に顔をうずめるティーさんがしみじみと。
なのに、オウとフカは、
「まったく、軟弱な奴らだ」
「けっ! オレは懐柔されたりしねーからな!!」
とか言って、そっぽ向いてる。
だけど、ミコナは嫌な気持ちにはなりません。オウやフカは、ママの、
<照れくさかったり反発してしまったりで素直になれない部分>
なんだと分かったから。
だからまた思い出します。何が原因だったかは思い出せないけど、すごく拗ねてしまった時に、ママに甘えたいのに素直になれなかったことを。今のオウもフカも、あの時の自分と同じなのかもと。
だったら今は無理はしないほうがいいと思うのです。無理に近付こうとしても、自分にも覚えがあるけれど、余計に素直になれなくなるから。
それが今のミコナの答なのでした。
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