橋の上で会いましょう

浜村麻里

1

ザーッと流れる川を眺める。

橋の上から見える水の流れは記憶にあるものよりも荒々しく、勢いよく石の間を通り抜けていく。

ときどきキラキラと白く光るのは魚だろうか。

冷たく鋭い風に当たりながらぼんやりと白い光の動きを目で追ってはすぐに見失う。

コンクリートでできた欄干にもたれていると、コート越しからも橋の冷たさを十分に感じることができた。

巻いてきたマフラーに顔をうずめて目を閉じる。

水の流れていく音が体の中に満ちていく気がした。

体の中が川の音で満ちていくのと同時に、いっぱいいっぱいになっていたこれまでの様々な感情が欄干を越えて橋の下へと押し出されていく。

冷たい冬の風がひらりと雪を乗せて鼻先を通り過ぎて行ったときにはすっかりと頭の中がリセットされたような心持になっていた。

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