第17話 傭兵
クローヴィスさんが詐欺を働いた神官を連れて帰ってから三日が経った。
孤児院には商隊の他に二十名の武装した団体が来ている。商隊の人に話を聞いてみると。
「あれは傭兵だよ。名前は知らないけれどどこかの戦争で大きな損害を受けて逃げてきたらしい。そこであんたたちが流した治療を行うって話を聞きつけてここに来るときについてきたんだ」
商隊の人とはひそひそと小声で話していたが傭兵の一部の人間には聞こえていたらしい。こちらに三人向かってきたので商隊の人は逃げていった。俺は一歩で遅れて逃げることはできなかった。
「俺たちはこの孤児院が治療と少しながら給金を出してくれると聞いてここまでやってきたのだけれどそれは本当なのかい?」
「それは本当ですが流石にここまでの人数が来ることを想定はしていなかったです」
「それはそうか」
「あのー。代表者を出してもらえませんか。こちらもじいちゃんを連れてきますので話し合いをしてもらえばいいかと思うのですが」
「ああ。それもそうだな。今連れてくるからここで待ち合わせよう」
そうして俺は商隊とないやら話をしていたじいちゃんを呼んで待ち合わせ場所まで連れて行った。そのころには既に傭兵がその場所に集まっており、一人の男が邪魔をしないようにと注意を促していた。
「お主らがここの警備をしてくれるという傭兵か?」
じいちゃんが尋ねると先頭で指示を出していた傭兵の頭領と思わしき人物が返事をする。
「そうだ。俺たちは一応【赤の狼】という傭兵団だった。聖王国側に雇われて帝国との戦争に参加したんだが捨て駒にされてな。それで何とか逃げ延びたここに居る二十名で再起を図っているところだ」
「流石に全員に給金を与えるほどここに余裕はないのでな。それに出ていくことが決まっているのであれば他にも人を誘致しなければならん。食事の面倒は見るので給金は少額で勘弁してもらえんかのぅ」
「それは構わんが治療は本当に行ってくれるのか?」
「最近巷でレッサーポーションが出回っておるじゃろう。それを作っておるのがここじゃと言えば信じてもらえるかのぅ?」
「まずは信用するにあたって一本そのポーションを譲ってもらえないか。効果が実感できれば給金は少額で構わないからここで警備を担当させて欲しい」
「分かった。ルークよ。一番効果が高いレッサーポーションをとってきてくれ。どうせみんな治療するのだから余っている分全て持ってきてよいぞ」
「分かったよ。じいちゃん」
そうして俺は孤児院の中にレッサーポーションを取りに走った。
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