第14話 いさかい
薬草園を改造してから一か月が経った。あれから三度薬草園を改造して、今では+6の薬草や魔力草が植えられるまでになっている。
孤児院は順調そのものであったが村はそうでもなかった。孤児院はレッサーポーションを売ってそのお金だけでやりくりができるほど潤っている。そしてそれを求めて商隊がやってくるのだが、その人たちは孤児院にやってくるだけで村には何も品物を卸さないのだ。
村では冬前になると食料を持って何度か行商人が来ていたのだが、商隊がやってくるようになってからはその行商人もやってこなくなっていた。
そこで村長が孤児院に対して文句を言ってきたのだ。
「もともとここはこの村の孤児院だ。それが今はなんだ。よその村の孤児まで受け入れて何様のつもりだ。それにあんたたちがここに来てから商人が来なくなってしまった。すまないが出て行ってくれ」
その言葉に対しじいちゃんは。
「ここに住むときにちゃんと金は支払っただろう。それにこれだけの設備をそろえるのに使った金もある。それを返しもせずにただ出ていけなど横暴が過ぎるのではないか?」
その言葉に村長はたじろいだ。金は既に使っていて返すことはできない。既に村八分にしているためこのまま放置していても孤児院には何の損害もない。手の打ちようがない村長はこのまま引き下がることしかできなかった。
そんな村長を見て、数人の村人は村長に見切りをつけて別の村へ移住していった。冬前の移動はそれだけ危険を伴う。この土地は雪は降らないがかなり冷え込むのだ。
いさかいを起こした村民を救う気にはなれずに孤児院では独自に冬の支度を進めていく。なんの罪もなさそうな子供が尋ねてくることがあったが彼らは神技【合成】を持った人間が集まっている孤児院だと分かると途端に横暴になった。
そうして孤児院を追い出される子どもが全員だった。じいちゃんは。
「ここまで神技【合成】の扱いがひどいとは思わなかった。ルークよ。お前たちだけがこの状況を変えることができると信じているぞ」
そう言ってじいちゃんと俺は孤児院の中に戻った。
そんなこともあり、冬を迎えた。孤児院では商隊の人が持ち込んだ魔術書を読み込むのがブームとなった。読み終わると皆魔法を覚えることができたのだ。覚えた魔法は水魔法。扱いやすく薬草園の水やりの負担を減らすためという理由でこの魔法書を購入した。
そして冬が空けたとき、食料が足りなかったのか何件もの村民が餓死していたのを徴税に来た官僚が発見した。
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